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彼らは敗退し地に伏した ページ3

.




黒羽が家に来る事は滅多にない
まぁ、兄達が煩いのは目に見えているし何となく家に呼びたくなかったのもあるのかもしれない



ガチャ



黒「お邪魔します」


「はーい」


キチンと靴を揃えて入る黒羽は流石というかなんというかこれが蒼生さんならそのままだ
蒼生さんはダラしない方だから



黒「A、テレビ付けていい?」


「うん、いいよ〜
待ってて今お茶入れるー」



ピッ


──ディビジョン・ラップバトルいよいよ始まりました!──



そんなアナウンサーの声がテレビから流れた



思わず視線がテレビへと向く
そこにはステージに立つ家族と…MAD TRIGGER CREWがいた




黒「ごめんAすぐテレビ消すね」



「いいよ、そのまま観よう」


黒羽にお茶を出しソファに腰かけた
それを見た黒羽も心配そうに私の隣に腰を下ろした



そのバトルは一瞬だった様に思える
あんなに笑って勝つと豪語していた家族が地に伏している

ボロボロになりながらも立っているのはMAD TRIGGER CREWでBuster Bros!!!では無かった



血を流し悔しそうに顔を歪める家族はどこか惨めに思えた

どうせどこかで必ず敗ける
ならば何故彼らは闘うことを選んだのだろう


兄さんだけなら分からないかもしれない
左馬刻さんも兄さんのラップの腕だけは買っていた(最もそれでも負けないと豪語していたが)


でも、二郎と三郎は違う
二人はラップをやっていた時間があの中の誰よりも短い

確かに子供離れした技術を持っているのは確かだ
それは私も認める


二人は兄に認められる為夜な夜な練習していたのを知っているから


家族は泣いていた
無様に泣いていた

無様じゃないのかもしれない
でも私にはそう見えた







(あの時…私が泣いていた時彼らは何もしてくれなかった

いや、きっと知らなかった


私が泣いていた事なんて


私が泣くはずないと思い込んでいるから)






イケブクロの為、未来の為に闘っていた
この世界を変える為に闘っていた彼らは初日に敗退することになった────



黒「負けちゃったね」


「そうだね。でも、私には関係ないよ」



黒「…そうだね」



その時の黒羽は一体何を思っていたのだろう
私は醜い気持ちで一杯だった


これから来る学校での出来事が私の心を蝕んでいく





.

蒼生さんの目は誰よりも───を映している→←お食事会(仮)



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卯月@スイ(プロフ) - 羅霧さん» 前に書いた作品なのにコメントを頂き嬉しいです!ありがとうございます!お楽しみ頂けて何よりです! (2020年12月21日 20時) (レス) id: 6ffd6a43ea (このIDを非表示/違反報告)
羅霧 - 凄く感動しました! これからも応援してます! (2020年12月21日 17時) (レス) id: 9b4203012a (このIDを非表示/違反報告)
卯月@スイ(プロフ) - 蒔涙さん» ありがとうございます!これからもよろしくお願いします! (2020年9月25日 16時) (レス) id: 6ffd6a43ea (このIDを非表示/違反報告)
蒔涙(プロフ) - 最ッ高でした。。。。イッキ読みしちゃいました。これからも応援してます>< (2020年9月25日 4時) (レス) id: 47c6d7b6cf (このIDを非表示/違反報告)
卯月@スイ(プロフ) - 癒し系猫さん» 歌詞は本っ当に悩んだ部分なのでありがたいです!!!ありがとうございます! (2020年9月24日 18時) (レス) id: 6ffd6a43ea (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:卯月@スイ | 作者ホームページ:http://weareasas  
作成日時:2019年11月13日 20時

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