７話 ページ7
結局琴音には弱い自分がダメなんだろう。ただでさえ男が苦手な妹がこうまで言うのだ。嬉しそうに会話をする三人をみて、はぁとため息。
「…琴音、母さん達の寝室に案内しな。それとアンタ、今日平日で出勤でしょ。朝食作っとくから、さっさと支度しなよ」
「…はぅあ！！わ、忘れてた！」
「忘れるなよそこは…」
紫煙をくゆらせながら、男達を睨みつける。まだ、この二人を信じたわけじゃない。
「家にいる間は私か琴音の言うことを聞くこと、無闇に外に出ないこと。特に私の部屋には絶対入らないこと。…それだけは守らないと、即座に追い出す」
「了解した」
「それとアンタら、食い物でアレルギーはあるか？」
「…いや、特にないが、何故だ？」
「いきなり倒れられたら流石に面倒だ。そっちのノッポは？」
「…のっぽ…。…ない」
リヴァイと名乗った小男と会話をして、無口な感じのノッポから一言引き出すと、憐歌はキッチンに引っ込んだ。換気扇の下に置いてある灰皿にタバコを押しつけ、手を洗う。
(……クソ面倒くさい)
四人分の食事を作るなど、両親が他界して以来だ。コーヒーとサラダとベーコンエッグ、トーストを用意しながら、案内にはしゃぐ妹の声を聞く。基本的に外出しない憐歌は、家事炊事の大半を引き受けていた。トーストの焼ける音がしてジュージューとフライパンから程よい煙か上がるころ、ビービーッと洗濯機に呼ばれる。小さな食卓に三人分の皿とパンを乗せて(それでも相当ぎゅうぎゅうだった)自分の分はキッチンに置いたまま、洗濯機へ向かった。
(しばらくあいつらを置くとなると…まずは買い物だな)
今日一日の予定を大幅に変更しなければならない。二人を連れ出さず近くのホームセンターに行くくらいは、問題無いだろう。なまじ泥棒なら、その間に家を漁って出ていくはず。被害はあるが、貴重品を手元に残しておけばいい。それで最悪、生活はできる。
食事の準備が出来たと二階にいる三人に怒鳴り、洗濯機から服を取り出してベランダに持っていった。サンサンと輝く太陽を恨めしげに睨みつけていると、琴音が窓越しに顔を出す。
「お姉、三人分しかないよ？」
「私はキッチンで食べるから」
「…怒ってる？」
「呆れてる。あいつらの面倒、琴音が責任もってみろよ。言い出したのはアンタなんだから」
「そんな、ペットみたいに」
「手間のかかりようはペット並み」
(なんだこの泥水は、なんて声が聞こえて思わず舌打ち)
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 25人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
カイリ(プロフ) - 結衣さん» 私からも、お知らせありがとうございました。ご冥福をお祈りします (2017年8月30日 21時) (
レス) id: e91033920e (このIDを非表示/違反報告)
灯霧(プロフ) - 結衣さん» お知らせありがとうございます。お名前を外させていただきました。リル様のご冥福をお祈りします。 (2017年8月30日 9時) (レス) id: 0aa059a6b7 (このIDを非表示/違反報告)
結衣 - リルは私の友達なのだけれど、この作品が出来た頃に交通事故で遠い空に旅立ったのだからこの小説のことはどうにもできません (2017年8月25日 0時) (レス) id: 12a171e478 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：カイリ＆灯霧
x他2人 | 作成日時：2017年5月13日 22時
