居眠り好きな彼［ 紫 ］

# 変な様子 ページ17

同級生の家に入り込んでゆったり

過ごす人がいるだろうか、否、居ないだろう。

そう思ったが、考えても仕方ないので

お風呂を上がる事にする。

下着は、何かあった時用として通学バックに

生理品等と同じにして入れている。

備えあれば憂いなしとは、この事だろう。

ドアから顔を出し、誰もいないことを

確認しては彼が用意してくれている服を

手に取った。

大きめの薄紫色のパーカーとズボン。

『…』

鏡の前で自分の姿を見て落胆する。

パーカーは大きすぎてめくっても

萌え袖不可避だし、

ズボンに至っては使い物にならない。

…まぁ、いっか。

パーカーがおおきいおかげで、

膝下までは隠れる。

気にしてもしょうがないし、

ここに居たらのぼせそうだと思って

ドアを開け、リビングに向かった。

『有栖くん、お風呂ありがとう』

首に掛けたタオルで髪を拭きながら

そう声をかけると、ソファでテレビを

見ていた彼が振り向いた。

「あ、ええで……って。

大きかったな、、」

『悔しいけど君身長高いから』

「何が悔しいねん……」

歯切れの悪い言い方をする彼に近づいて

行くと、彼はバッと立ち上がった。

「ズボンはどしたん」

『大きすぎて意味なかったんだよ

馬鹿うさぎ』

きっと彼のことだから、チビとか言って

私を煽るのだろう。

そう思っていたのに、彼は私の横を

通り過ぎて言葉を落とした。

「僕も風呂入ってくるわ。

テレビとか見といてええで」

そう言ってスタスタと歩いていった彼。

顔は見えなかったけど、

少し冷たい物言いに何か引っ掛かりを

感じた。

彼が先程までいたソファに座って

言われた通りにテレビに目を向けると

『あ！』

ちょうど好きな番組が始まっていた。

それからテレビに夢中になり、

5分後くらいには、

もうすっかり有栖くんの変な様子なんて

頭の外だった。



















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またのお越しを。

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