居眠り好きな彼［ 紫 ］

# おかしい ページ16

『「ご馳走様でした」』

手を合わせてペコッとする有栖くん。

可愛いな、と本気で姉気分になりながら

同じようにすると、音楽が流れた。

( 〜 ♪♪ お風呂が沸きました )

「やって。入ってくれば？」

『え、借りていいの？』

「当たり前やろ。明日学校行く前に

自分の家帰る時間ある思う？

そんな早起き出来るならええけど」

そう言う彼に、私は思考を巡らせるも

ひとつの答えにたどり着いた。

『…かして下さい』

「ん。制服はすぐ乾燥かければ

いけるやろ。明日の勉強道具は？」

『置き勉だから問題なし』

「よし。ほな行ってきーや」

『…何処』

「廊下真っ直ぐ奥から二つ目のドア」

『お借りします』

そうして、お風呂へ。



















『暖かい……』

ぬくぬくと

湯船に浸かっていると、ノック声が

くぐもって聞こえた。

(こんこんっ)

『はーい』

「ドアの前に服置いとくでー」

『ありがと』

「ほな。」

そう言って遠ざかっていく音が聞こえる。



















制服は乾燥すればよし。

ご飯はもう食べたし、勉強道具も

学校にあるし……

そこまで考えて、私は勢いよく

湯船から立った。

おかしい。

何かがおかしい。

ハッキリとはしないけれど、なにかが

おかしい。

そして、その違和感に私は気づき、

自身でもさらに驚いた。



















“ なんで私こんなにつくろいでるのよ…… ”



















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またのお越しを。

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