居眠り好きな彼［ 紫 ］

# 寂しい時 ページ12

「ん、できたで」

暖房ですっかり温まった部屋。

ふたつカップを持ち、目の前の椅子に

座って、片方のカップを差し出した有栖くん。

『ありがと』

「熱いかもしれへんから、ゆっくり

飲むんやで」

『…うん』

淹れたてのココアは、甘くて暖かくて

優しい味がした。

「暖まるなぁ…」

『そうだねぇ』

ホカホカしていると、

カップを置いて私を見つめた。

「…なぁ。雪音さんはさ、1人で

暮らしてて寂しい時とかないん？」

『あったけど … もう慣れた、かな。

有栖くんは寂しい時があるの？』

そう言うと、言うか言わぬか悩んでいる

様子の彼。

プレッシャーをかけないよう、

ココアを1口飲んでいると

「…あんで。」

小さく聞こえた。

『そっか。』

「… かっこ悪いよな 」

自嘲的な微笑みを浮かべる彼。

『そんな事ないよ。

誰だって、寂しい時はあるし。

私だって怖いものあるから』

「… 暗い夜道と数学が怖いもんな？」

意地悪そうに笑った彼。

『うわ、せっかく慰めてあげたのに

酷い、さいてー』

「そのさいてーな奴の家でさいてーな奴が

いれたココア飲む今の気分は？」

『家とココアには罪ないし』

「意味わからんわ w 」

『 www 』

ココアを半分くらい飲んだあと、

湯気に重なった彼の声が聞こえた。

「雪音さん



















“ 慰めてくれてありがとな ”



















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またのお越しを。

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