その瞳に秘めるものは Ⅲ 【ドラコ・マルフォイ】 (ページ20)

今日:7 hit、昨日:14 hit、合計:41,556 hit

〇□ 重なるページ20

気分が良かったのが行けなかったのだろう

ドラコは歩みを止めて私の腕を掴んだ

ド｢それは、何時聞いたんだ？｣

『いつって……ぁ、えっと』

ド｢僕も行きたいところが出来た。行くぞ｣

手を引かれて数十分

辿り着いたのはドラコと初めて会話をした中庭だった

『以外に人は居ないんだね』

ド｢運が良かったな｣

迷わず懐かしいベンチに腰掛け羽織っていたジャケットを脱ぎ、私の肩に掛けた

『いいの？』

ド｢幾ら雪が止んでいても寒いだろ。羽織ってろ｣

『ありがとう』

仄かにドラコの香水が鼻をくすぐる

ド｢それで、聞いてもいいか？｣

伺うように此方を見る彼に観念したように両手をあげた

『本当は言おうと思ってたの……でも、言い出せなくて』

ド｢あぁ、ゆっくりでいい｣

それから事細かに父親─シリウス・ブラックの事を包み隠さずドラコに打ち明けた

やはり彼は驚いていたが遮ることはせず最後まで真剣に耳を傾けた

『結局ぺティグリューに逃げられて無実を証明できなかった……だからドラコにも言えなかったの』

ド｢そうか｣

『信じてくれるの？』

ド｢君はそんなしょうもない嘘を付かないだろう。話してくれてありがとう｣

ドラコの手が自然と零れた涙を拭い

そしてお互いの影が重なった

･

気づけば雪がまた降り出していたようで彼女の真っ黒な髪に所々白い点が付いていた

まだ少し熱が残った唇にこれが夢ではないと実感させられる

目の前にいるリアの頬がピンクに染まっているのを見てまた唇に吸い寄せられそうになったが理性がそうはさせなかった

夢｢ｯｸｼｭｯ……雪、結構降ってきたね｣

『中に戻るか』

流石にこのままでは2人とも濡れて風邪を引きかねない

抱き寄せた腰はやはり少し湿っていて無理をさせてたのではと不安になる

『寮に来ないか？』

夢｢え｣

『いやｯ、変な意味は無い！暖炉に当たった方がいいと思ったんだ』

夢｢それならグリフィンドールにもあるけど…まだドラコと居たいから、行こうかな｣

今日くらいは他寮生がいても許されるだろう？

ふわりと笑う彼女を連れて階段を下った