瞳の奥に映るもの【シリウス･ブラック】 (ページ3)

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少年side

口煩い親から逃げるように特急に飛び乗りすぐ近くのコンパートメントに入れば少しボサボサな黒髪でメガネをした少年に出会った

まだ発車するにはかなり時間が早いため人がいないと踏んでいたのだが予想は外れたようだ

｢えーっと、そこに突っ立ってないで座ったらどうだい？ちょうど僕の前が空いているし｣

｢お、おぅ。ありがとな｣

｢僕はジェームズ・ポッター。君は？｣

｢ｯ｣

少年はすぐに名前を言えなかった

言ってしまえば今快くコンパートメントに入れてくれた彼と二度と話すことは無いかもしれないと思ったからだ

｢？どうしたんだい？｣

｢ぁ、……俺は…シリウス｣

｢そうか！よろしく、シリウス。それで君のファミリーネームを聞いてもいいかい？｣

まだ11歳の少年だが彼は分かっていた

ここで言ってしまえば、きっとこいつは俺を軽蔑する

それかこんなフレンドリーな態度が嘘だったかのように媚びるんだろう

だが、もしかしたら……そんな考えが頭を過り気づけば

｢ブラック……シリウス・ブラックだ｣

そう、口に出していた

それを聞いた少年は驚きを隠せない様子で聞いた

｢じゃあ君は、スリザリンに入るのか？｣

｢！入らない！俺は絶対グリフィンドールに入る！｣

まさか彼の第一声が寮のことだとは予想しておらず焦って声が大きくなってしまった

その返答が合っていたのだろうか少年は先程の笑顔と変わらず

｢そうか！僕も絶対グリフィンドールに入るんだ！｣

少年──ジェームズ・ポッターがグリフィンドールがいかに素晴らしいかを語っている間

もう1人の少年──シリウス・ブラックは先程までの不安の表情が嘘だったかのように笑顔で相槌を打ち、彼の言葉に耳を傾けた