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第十三話 ページ14

自分はいつだって真面目に授業を受けてきた。いつだって真剣に取り組んできた。それなのにオマエは、周りより出来ないからって目をつけやがって。
 
「オマエが悪いんだ」

 Aが呟いた直後――車が動き出した。
 
「!!」
 
 反射的に手を入れてハンドルを掴むと同時に影を出すことに成功する。それは壊れた柵のように歪な形になり、前方にまとわりつく。

「おい! 何してんだよ!」

 泥酔したままの運転手を怒鳴りつけるが呂律の回らない声で返すばかり。影は徐々にナイフで削られたかのように切れていく。

「ふざけんなよ! 起きろよクソ馬鹿野郎!」

「ねえ。何でそんなに必死なの?」

 と誰かがAの背後からサイドミラーに手を置いた。露出した腕にはツギハギが目立つ。声からして若い男性のようだが……。

「あの先生のこと、憎いんだろ?」

「……憎い、けど」

「だよねぇ。アイツ、殺してあげようか?」


『ソイツ、()ってやろうか?』


 つい昨日、全く同じ言葉を口にした春太のことが頭をよぎる。「やめて」と首を横に振ったのは背後の彼を親友に重ねたからに違いない。

「いい。いいです、殺さないでください」

「……そう? じゃあ、こっちの馬鹿にしとくね」

 その言葉を理解しようとした時、男がAの肩越しに運転手の頭を掴んだ。

「じゃあね」

 その言葉とともに離れる気配がし、呆然としていたAはハッと我に返る。

 ――待って。

 そもそも自分は一体、『何』と話していたのか。
 振り向くと、黒い服を着た長髪の男が去っていく姿が見えた。


「宮井先生!? だれか、救急車呼んで!」

「やだ、なにあれ!? ちょっと、運転手見て!」

「はあ!? やべえ見ろよあれ!」

 嫌な予感がしつつも、Aはおそるおそる車の中に視線を移す。奇妙な形に引き伸ばされた運転手の頭は、まるで作りかけの粘土人形を変形させたようだった。







 それから宮井は病院に搬送され、通報を受けた警察は無残な姿の運転手の死体に状況を飲み込めないでいた。


「なあ、あのさ……これも例の呪術師がやったのかな」

「しいっ 先生たちに聞かれたらヤバイって」

「いやだって、タイミング良すぎねぇ? 宮井が事故るなんてさ」

 その通り。あのまま宿儺(すくな)の指を使って呪い殺すつもりだった。それなのにいざとなると怖気付くなんて、自分で自分が情けない。

 

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闍弥嵩 李(プロフ) - 猫かぶりさん» ありがとうございます! いやほんと、ななみん背高いし紳士だし実は優しいし最高ですよね! 芥見先生が『選ぶなら七海にしておけ』と勧める気持ちが分かります! (2021年6月1日 16時) (レス) id: 425bc70507 (このIDを非表示/違反報告)
闍弥嵩 李(プロフ) - 推しLOVEさん» ありがとうございます! 頑張りますね! (2021年6月1日 16時) (レス) id: 425bc70507 (このIDを非表示/違反報告)
猫かぶり - 続きがとても楽しみです!そしてななみん背高いぃぃぃ!!! (2021年5月30日 23時) (レス) id: 94bc23990d (このIDを非表示/違反報告)
推しLOVE - すっごく面白いです!頑張ってくださいね! (2021年5月23日 19時) (レス) id: 5790125387 (このIDを非表示/違反報告)
闍弥嵩 李(プロフ) - 花笠さん» ありがとうございます! (2021年4月17日 15時) (レス) id: 1dd78312f0 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:闍弥嵩 李 | 作成日時:2021年2月15日 17時

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