第十二話 ページ13
甲高い笛のような音が響き、その方角を見たAは「うわ……」と顔をしかめた。二十メートルほどの木の頂上付近の枝に鳥のような形をした呪霊がとまっている。大きさは人間の子供くらいだろうか。降りてきてほしくはない。
――そういえば
なんでも、取り込むことで膨大な呪力を手に入れることができるために狙われることが多いという。今のところあの呪霊が動く気配はないものの、落ち着かないので指の入った木箱を鞄の中にしまってその場を離れた。とりあえずは本物ということでよさそうだ。
正門の外で宮井が制服をだらしなく着崩した生徒を呼び止めて説教しているのが見えた。はじめはスルーしていたAだったが、ふと恐ろしいことを思いついて足を止める。
宿儺の指は護符で封じられている状態だ。それを剥がせば、自分がやったとバレずに宮井を呪えるんじゃないか？
木にとまっていた呪霊はおそらく指を狙っている。とすると、封印を解いた指を宮井のポケットに素早く入れてソイツに襲わせれば……。
今度は別の女子生徒と口論している宮井を見てAはほくそ笑む。いつでも殺せるということをアイツは知らない。
鞄を開けて護符に巻かれた指を木箱から取り出し、標的が一人になるのを待つ。
自分は知っている。伊野と同じようにオマエも生徒を比べるってことを。教師失格、脱落だ。
――嘘つきの教師。腹切って詫びろ。
女子生徒が文句を言いながら去って行き、その場には宮井一人となった。校舎側の生徒たちがこちら側までくるにはまだ時間がありそうだ。出来れば他の人間は巻き込みたくない。
やるなら今だと近づきながら護符をつまみ、いつでも剥がせるように準備する。宮井の前まであと何歩か。七、六、五、四、三……
――さよなら教師様。
Aが護符を剥がそうとした次の瞬間、宮井が銀色の軽自動車へ変わった。いや、正確には宮井の立っていた位置に車が突っ込んできたのだ。
「はっ……え？」
咄嗟のことに間が抜けた声を出してしまう。最初の感情は『ギリギリで助かった』。
運転席側にまわると窓が開いており、運転手は泥酔している様子だった。そして離れた場所には倒れて呻いている宮井の姿。
指を鞄にしまい、咄嗟にスマホで救急車を呼ぼうとして手を止める。待てよ……？
「……かわいそ。楽にしてあげようか」
気がつけばそんなことを言っていた。
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闍弥嵩 李(プロフ) - 猫かぶりさん» ありがとうございます！ いやほんと、ななみん背高いし紳士だし実は優しいし最高ですよね！ 芥見先生が『選ぶなら七海にしておけ』と勧める気持ちが分かります！ (2021年6月1日 16時) (
レス) id: 425bc70507 (このIDを非表示/違反報告)
闍弥嵩 李(プロフ) - 推しLOVEさん» ありがとうございます！ 頑張りますね！ (2021年6月1日 16時) (レス) id: 425bc70507 (このIDを非表示/違反報告)
猫かぶり - 続きがとても楽しみです！そしてななみん背高いぃぃぃ!!! (2021年5月30日 23時) (レス) id: 94bc23990d (このIDを非表示/違反報告)
推しLOVE - すっごく面白いです！頑張ってくださいね！ (2021年5月23日 19時) (レス) id: 5790125387 (このIDを非表示/違反報告)
闍弥嵩 李(プロフ) - 花笠さん» ありがとうございます！ (2021年4月17日 15時) (レス) id: 1dd78312f0 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：闍弥嵩 李 | 作成日時：2021年2月15日 17時
