上杉猫と三兄妹 ページ27
どうして俺は猫なんかになっているんだ！？
俺は動物も昆虫も、時には人間だって好きにはなれないのに。
何故だ！？
この長い尻尾にピンっと立った耳。
身体は毛むくじゃら。
アレルギー体質なのに、よりによって猫！
ありえねーだろ。
落ち着いて、よく考えろ。
こうなった原因を……
今日若武ん家からの帰り道、俺と小塚、コンビニへ行くと言って出てきた若武、三人で歩いてたよな。
んで、前を歩く二人が何かコソコソしてたような……
そしたらバカ武が急に俺の後ろに回り込んで、くすぐったんだ。
抵抗していると口の中に小塚が何か放り込んだ。
考える間もなく勢いでゴックン。
怒って小塚に『何食わせたんだ！？』て聞いたら明後日を向いて無言だった。
バカ武にも同じ質問をしたけど、『心配するな、ただのラムネだ』って……
まぁ、その後腹もこわさなかったから、本当にラムネだったのかな？なんて呑気に考えて寝たんだよな。
・・・・
絶対違う！
あれは小塚が作った“夢のくすり”だ。
確か……見たい夢を考えながら眠るとその夢を見る。て言ってたよな……
で、何で猫なんだ！？
意味わかんねー。
俺は猫の事なんて微塵も考えなかったぞ。
完全に失敗作だろ、このくすり。
でも、考えようによっては、夢なんだからすぐに醒めるって事か。
元々眠りは浅い方……醒めれば the end。
このまま静かに時を過ごそう。
とは思いつつ……寒い……
俺は何故濡れているんだ？
それにここはどこなんだ？
見上げれば高い天井、回りにはいろんなサイズの靴が並んでいる。
誰の家なんだ？
床、冷てーんだよな……
玄関に敷いてあるマットに前足を差し出した瞬間、けたたましい声が響いた。
「ねこー！お、お兄ちゃん、大変！！」
階段をバタバタ上がる音。
そしてドアを叩きながら、「お兄ちゃん、大変、大変なんだってば！」
……この大声はもしかして……
「うるせえな…どこに猫がいんだよ。」
声の方を眺めていると足からゆっくり現れる。
間違いない、裕樹さんだ。
面倒くさそうに降りて来るけど、スウェットを着たラフな格好でも格好良い。
俺は裕樹さんを憧れの眼差しで見ていると、階段を降りきった瞬間、目が合った。
「嘘だろ……ガチか……」
「ね、いたでしょ？お兄ちゃん、どうしよう……」
驚きが隠せない裕樹さんに後ろから声をかける立花。
どうしよう……
て、俺が聞きたい、知りたい、教えて欲しい！
何故立花の家にいるんだ！？
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 73人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を含むプレイリスト 
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
り一 - この薬のんでみたい！ (2020年5月22日 14時) (
レス) id: a9605826b0 (このIDを非表示/違反報告)
千祥(プロフ) - 葵さん» めっちゃ褒めすぎですよ、葵さん(汗)でも楽しんでいただけたなら嬉しいです。ありがとうございました。 (2019年4月20日 23時) (レス) id: b78f8b2173 (このIDを非表示/違反報告)
葵 - なんと表せば良いのか分からないくらい、読んでいてワクワクしました！凄く想像力が豊かだからこそこんなに素晴らしい作品が書けると思うので、ほんと尊敬します(p^-^)p (2019年4月19日 22時) (レス) id: 5cf405873d (このIDを非表示/違反報告)
千祥(プロフ) - みなみさん» 読んでくださり、ありがとうございました。いくつか掛け持ちをしているのでメドがたってから作りたいと考えています。妄想は絶えずしてますので、ネタはあるんですが(^_^;) また新作を出した時にはよろしくお願いいたします。 (2018年11月25日 0時) (レス) id: b78f8b2173 (このIDを非表示/違反報告)
みなみ(プロフ) - また新しい作品読みたいです！応援してます！ (2018年11月24日 21時) (レス) id: 405036adca (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
