ページ ページ13
「あのな、コレは俺達男には分からない、女性にとってとてもデリケートな事なんだ。今、俺達は“男”と“女”を必要以上に意識する年齢だろ？王様だって同じ。だから……
火影が若王子に子供に言い聞かすようにしていると、教室の後ろのドアが勢いよく開いた。
「あぁ、良かった。まだ皆いたんだ。」
現れたのは渦中の人。
走って戻ってきたのか、息を切らしている。
面食らった美織はとっさに巾着を後ろに隠した。
「あぁ、も、もうすぐ帰るよ。王様、どうした？忘れ物か？」
よそよそしく問う火影の顔はぎこちなく、若王子は吹き出した。
睨みをきかす火影に王様は近づき、息を整えつつも堰を切ったように言う。
「巾着！巾着落ちてなかった？」
三人は視線を合わせ、“誰か言えよ”と目配せ合う。
暫く無言の時を過ごすと、若王子はすっと手を伸ばし、美織の後ろ手から巾着を取った。
「これのことか？」
差し出すと王様は白い歯を見せ、嬉しそうにした。
「よかった……やっぱりここだったんだ……」
「なぁ、王様、それ何？大事そうだけど？」
若王子はしれっと何も知らないフリで聞く。
「え？ナ○キンだよ。」
平然と答える王様に、火影と美織は困惑と羞恥、ついでに若王子への怒りが入り混ざった複雑な色を浮かべてた。
対して“ほら見ろ。やっぱコレに意味なんて無い”と今にも口に出しそうな得意顔。
「若王子君、あのね……」
得意顔のまま王様の声に反応をすると、何故か恥じらう乙女のように頬を染めている。
「さっき……浩史先生を見かけたんだけど……コレのこと言ってないよね？」
「え？」
若王子は自分達には羞恥も無く言ってのけたのに、浩史先生を気にする心根が分からない。
「もし…コレのこと話してたら恥ずかしいから……」
「恥ずかしいって、何で恥ずかしいんだよ？」
天然二人の会話に美織と火影は迷っている。
王様のことを思うと会話を止めた方がいい。
しかし、人に対してあまり関心を持たない若王子の食い付き様に、二人は好奇心を煽られる。
結果、二人は何も言わず傍観者となった。
「だって！その……やっぱり好き人には知られたく無いじゃない？」
普段の王様には見られない、女子特有の雰囲気に、若王子は戸惑いを露にした。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 40人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を含むプレイリスト 
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
＃モモ# - 面白かったです！他の作品も頑張ってください！ (2021年8月17日 11時) (
レス) id: a8579e89ad (このIDを非表示/違反報告)
蜘蛛 - はい！お願いしますm(__)m (2020年3月18日 9時) (レス) id: 6a44c88143 (このIDを非表示/違反報告)
千祥(プロフ) - 蜘蛛さん» この度は読んで下さり、ありがとうございます。一小節とは、番号若しくはタイトルを付けて欲しい、と言うことでしょうか？ (2020年2月19日 23時) (レス) id: 1ff717e023 (このIDを非表示/違反報告)
蜘蛛 - すみませんが、一小節ずつ見れるようにしていただけないでしょうか。 (2020年2月19日 22時) (レス) id: 6a44c88143 (このIDを非表示/違反報告)
千祥(プロフ) - 雀さん» ありがとうございました(^.^) (2018年8月7日 19時) (レス) id: b78f8b2173 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
