二夜目 満月 遭遇 ページ4
二夜目 満月 遭遇 中原side
俺は無言でその廃倉庫を見上げた。
最近、マフィアでは立て続けに二十件以上武器庫が襲われている。下手人は僅か四人の餓鬼。然し、倉庫を警備していた構成員は全員死亡した。百人は余裕で越えている。恐らく異能力なんだろう。
中「行くぞ。油断はするなよ。相手は異能力者だ。何仕掛けて来るかはわかんねえ。」
そう言って倉庫の入口へ歩いて行く。その時声がした。
「いらっしゃい。」
その声と同時に光が目の前へと迫った。後ろへ飛んで回避する。が、直後俺は見えない何かに吹き飛ばされた。
「流石。私の攻撃を避けられる人は初めて。でも、音は躱せなかったみたいね。」
俺は着地し、目の前の奴を見た。銀色の髪に白藍の目。薄墨色で百合の花を描き銀の糸で蜘蛛の巣を刺繍した白い着物を着て、髪に付けた大きな白百合の花。その体躯はほっそりとして華奢な女の餓鬼で、とても危険な奴には見えねえ。だが、直感的に判った。こいつの異能は俺と同等、若しくは上だ。
そう思って相手の見据えた時、俺の真後ろから悲鳴が上がった。
見ると、部下が十五人程その場に倒れてもがいていた。
「助けてくれ！ 痛い！ 痛い！ 死にたくない！」
「何かが、何かが、体の中が食い荒らしている！ やめろ！ 食うな！ 食うな！」
「やめろ！ やめてくれ！」
「頼む、誰か、誰か！ 殺してくれ！」
俺は目の前の子供を見た。
中「手前、俺の部下に何をした？」
餓鬼は今初めて俺の部下の様子に気付いたようだった。
「ああ、あの人たち？ 邪魔だから死んでもらうだけ。あっ、羽化し始めたみたい。首の所。」
羽化という言葉に見てみると、部下の首筋の皮膚を突き破って何かが顔を覗かせた。直後、体を震わせてその部下が動かなくなった。死んでいた。
中「は、蜂……？」
大きな目と頭に六本の脚、細く縊れた腹から突き出た針。間違いなく蜂だった。何匹も何匹も蜂が部下の首筋から飛び出して来る。蜂が出て来る度に、次々と部下が死んだ。そして、羽化した蜂達は他の部下に飛んで行き、その首筋を刺した。俺は何が起きているのかに気付き叫んだ。
中「手前ら逃げろっ！ そいつらは寄生蜂だ！」
蜂共を潰す為俺は部下達の元へ行こうとした。その刹那、足元に光が飛ぶ。思わず躱して見上げれば、先刻の餓鬼が俺の事を笑いながら見ていた。
「貴方の敵は私たち。行かないで頂戴。」
イカれてる。本気でそう思った。
二夜目 満月 遭遇 其の二 中原side→←一夜目 満月 邂逅
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翠緑胡蝶(プロフ) - 以後気をつけます……。 (2019年8月24日 0時) (
レス) id: 3ac993459a (このIDを非表示/違反報告)
翠緑胡蝶(プロフ) - かなとさん» すみません、うっかり外すのを忘れていました。教えて頂きありがとうございます！ (2019年8月24日 0時) (レス) id: 3ac993459a (このIDを非表示/違反報告)
かなと - 編集画面の関連キーワード入力の下をよく読みオリジナルフラグをお外し下さい違反です (2019年8月23日 16時) (レス) id: b1d25bd6f7 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：翠緑胡蝶 | 作成日時：2019年8月23日 14時
