18話 ページ19
相容れないと思った。
彼は自分の対極にいる人間だと。
決して消えることのない光を目に宿した、紛うことなき善人。
自分が汚く見えて仕方ない。
「おいA！！初対面であれはねぇだろ！」
「……うん、自分でもそう思う」
後から追い掛けてきた隆の言葉を肯定する。
初対面であれはないと自分でも思った。流石に否定ができない。
「突然どうした？」
「別に何でも」
「お前また卑屈になってたろ」
「くっそが」
「図星」
何で分かるんだ此奴め。
タケミっちはお前と真逆のタイプだもんなと隆が言う。
その顔はしてやったりと言いたげな表情を浮かべている。
「……今世紀最大にムカつくな」
「お前はお前でいいところあるんだからあんま卑屈になるなよ」
な？と頭を撫でてくる隆の手を乱雑に振り払う。
「お前……ホントお前……っよくこんな恥ずかしいこと平気でできるな」
一瞬寒気がしたよ。いや、ガチで。
「何ならお前のいいところ列挙していってやろうか？」
「やめてくださいそういうタイプじゃないです自分」
「そうでもしないとお前は自分のこと褒めねぇだろうが」
「自分のことを好きになんてなれないね」
例え天地がひっくり返っても好きにはなれない。
こんな人間、さっさと死んでしまえばいいのに。
「オレはお前がいないと悲しいけど」
…………──────。
ぞわりと背筋が凍った。
「心を読むなよ！エスパーかお前は！エスパー隆って呼ぶぞこれから！」
「伊達に幼馴染みやってねぇよ」
元気出たっぽいなと笑う隆に思わず呆れ返る。
この幼馴染み、本当に世話焼きというか何というか…………。
呆れを通り越して関心さえする。
「隆ママお腹空いた」
「ママじゃねぇはっ倒すぞ」
「………………ありがとう」
「おう」
再び頭に置かれた手を今度は振り払わずに享受した。
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作者名：雨野夜都 | 作成日時：2021年8月24日 5時
