10話 ページ11
「武蔵祭り?」
「そう!That's right!!」
きゃっきゃとはしゃぐ翔奏を無視して買ってきたプリンを冷蔵庫にしまう。
「8月3日の武蔵祭り!きーちゃん!!私からの指令なんだよ!」
「却下で」
「なぁーんでー!?きーちゃんの鬼!人でなし!悪魔!!」
お仕置だー!!と言って背後から抱き着いてきた翔奏は、頭を撫でると猫のようにゴロゴロと言い始めた。
「きーちゃんお願いだよぅ……暴走族の抗争起きるからぁ……」
「余計行かねぇよ」
抗争って何。祭りの日なんだから大人しく祭りを楽しめよ。別の祭りを開催すんな。
「屋台のりんご飴食べたいぃ!わたあめカステラさくら棒!!たい焼きクレープかき氷!きーちゃんは食べたくないの!?」
「きーちゃんはフライドポテトが食べたい」
「うぅん…っ!!」
「お好み焼きたこ焼きもんじゃ焼き。焼きイカ焼き鳥焼きとうもろこし」
「焼き焼き煩いきーちゃん!そんなに焼いちゃ焦げちゃうよ!フライドポテトのくだりは何だったのさ!」
「フライドポテトって言葉が勝手に口から出た。ちなみに何が焦げるって言うの」
「きーちゃんの脳みそ!」
「そりゃ残念。きーちゃんの脳みそはとっくに焼け焦げてるよ」
「ん"ん"ん"っ!!」
こらこら人の背中で暴れるな。お前の愛しのきーちゃんの背骨が折れちゃうぞ。
うぎー!だの、うにゃー!だの、とにかく呻く翔奏を背負い投げの要領で前に落とす。
「よいしょ」
「うきゃ!」
床とご対面する前に横抱きしてそのままソファーに降ろした。
机にはさっき作り終わったオムライス。
「今日の夕飯はオムライス。デザートはプリン」
話は食べてから、と頭を撫でる。
あ、このプリンはいつかのプリンと違って美味しいので安心して欲しい。
まぁ当然のように値段は高かった。プリンで4桁って初めて見たよ。
ちなみに今回は翔奏の財布から出た金なので自分に被害はきていない。やったね!
「きーちゃんだぁい好きー!」
「うぐぇ」
ぎゅっと抱き着いてきた翔奏の背に腕を回す。
抱き着くのはいいが、首がいい感じに締まっているので首に回している腕をどうにかして欲しい。
ふわふわと浮かぶオムライスの湯気を眺める。
我ながら上手く作れたなぁ……量とんでもねぇけど。
「食べなよ翔奏」
「うん!今日もありがとうきーちゃん!!」
「はいはい」
嬉しそうに笑う翔奏の姿に柄にもなく心が温かくなった。
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作者名:雨野夜都 | 作成日時:2021年8月24日 5時