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夏休みが明けて、二学期が始まった。
九月一日といえど、まだ残暑が厳しいこの時期。
半袖のシャツを更に折って袖を短くするのが定番だったりする。
「Aちゃん！」
時間ギリギリで教室に入ると、既に来ていた朝練終わりの及川に声をかけられた。
「久しぶり、元気だった？」
『久しぶり。うん、それなりには元気だったよ。及川は？』
「俺もそれなりには！」
「嘘つけ。こいつずっとしょぼくれてたぜ、Aちゃんに会えない〜(裏声)ってよ」
「ちょ、岩ちゃん！？いつから居たの！？それは言わない約束でしょ！」
そう言って突然現れたのは、確か同じバレー部の岩泉だ。硬派な男に、案の定白シャツがよく映える。
及川より断然爽やかだ。
「Aちゃん、岩ちゃんの言ってることは気にしないでいいからね！」
「うるせーよ。なぁ梨木、もういっそのことマネージャーやってくんねぇ？こいつがしょぼくれて、こちとら大迷惑なんだよ。もう練習になんねぇわ」
『ええ、まだ諦めてなかったの？マネージャーの件』
まさかの岩泉までマネをやってくれなんて言ってきたので、なんとなく裏切られた気持ちになる。
なにさ、勝手に味方だと思ってたのに。
ちょっと、これからは岩泉にまで勧誘されるなんてやだよ？
「まさか！諦めるわけないじゃん。Aちゃんがおっけーしてくれるまで、勧誘活動はずっと続ける予定だよ」
「ほんとお前も大変だな……」
『岩泉もこんなのと毎日一緒なんて苦労が多いね』
「まったくだよ」
「ちょっと二人とも、さっきからひどくない？」
困ったように眉を寄せる及川。
その時、始業開始のチャイムが鳴って、岩泉は自分の教室に戻って行った。
HRが始まり、チラリと隣の及川を盗み見る。
暑そうにシャツを捲っては、持参の株式なんちゃらと書かれた団扇でぼけーっと扇いでいた。
花火大会以来に会った及川はなんだか新鮮で、口を開けばマネージャー云々と勧誘してくるあの煩さが、少しだけ懐かしく感じたのだった。
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蜜柑(プロフ) - 卵おにぎりさん» ありがとうございます！最近更新できてなかったので頑張ります…！ (2021年8月3日 14時) (
レス) id: 6c0400a92a (このIDを非表示/違反報告)
卵おにぎり - とても好き! (2021年8月3日 11時) (レス) id: 9fc3fd6c87 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：蜜柑 | 作成日時：2021年5月30日 19時
