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『ちょっと、そこどいてくんない?』
及川の隣の席である私の席に、知らない女子生徒が座っていたので、そう声をかけた。
イライラしていて、若干トーンが低くなる。
「あ、ごめん……」
おずおずと席を立つその子に、何故か侮蔑の感情が浮かび上がる。
チャラチャラした男に群がる馬鹿なミーハー女たち。私の嫌いな部類の人間。
「ねぇ、梨木さんてちょっと感じ悪くない?」
「あの迷惑そうな顔。もうちょっとにこやかにできないわけ?」
「及川くんの隣のくせに、生意気」
はい、聞こえてるんですけどー……。
小声でひそひそと囁かれる耳障りな声。
ほーら来た。いかにも少女漫画とかで量産される展開か?
だから嫌なんだ、モテ男ってやつは。
人気者(特に異性から)には必ずといっていいほど、こういう面倒事が付き物だ。
チャラ男に付きまとう取り巻き連中も、言わずもがな鬱陶しい。
「隣、梨木さんていうんだ。これから宜しくね〜」
囲まれていた元凶が私に言う。
アンタ、私の気持ちを知ってんのか?
如何にも優男といった爽やかな笑顔で微笑む彼にも腹が立った。
『あぁ、よろしく』
1ミリも思っていないよろしくに、彼はふっと笑う。別に、どうでもいい。隣の席だからって何か特別関わるわけじゃない。
チラりと一瞥し、たった一言そう返して、私はすぐにイヤホンをしてひとり別の世界に逃げた。
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蜜柑(プロフ) - 卵おにぎりさん» ありがとうございます!最近更新できてなかったので頑張ります…! (2021年8月3日 14時) (レス) id: 6c0400a92a (このIDを非表示/違反報告)
卵おにぎり - とても好き! (2021年8月3日 11時) (レス) id: 9fc3fd6c87 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:蜜柑 | 作成日時:2021年5月30日 19時