検索窓
今日:3 hit、昨日:1 hit、合計:37,621 hit

3.迷子になった未来人 ページ4

ギムレーと共に、私たちは過去の世界に旅立ったのだが、ここで問題が発生した。

単刀直入に言う。

迷子になった……。

気が付けば知らない野原の上で寝ていて、周りには誰もいないのだ。

「ギムレー!迷子の迷子のギムレーやぁい!」

取り敢えず、私は寝心地の良い野原から起き上がり、ギムレーたちを探すことにした。

実際に迷子になったのは私だが……。

それから数時間は歩いたが、ギムレーたちを見つけることはできなかった。

あんなにデカい図体をしているのだから、すぐに見つかるだろうと考えていた数時間前の私を殴ってやりたい。

さすがに歩き疲れ、私は野原の上に寝そべる。

……私のいた、絶望で染まった未来とは違い、生命力で溢れた世界だ。

野原に寝そべり、そんなことを考える。

海のように果てしなく続く空の青に、青々と茂る木々の緑。
どこからか聞こえてくる、鳥たちのさえずりや温かな陽の光。

草花の香りを乗せた涼しい風が吹き、私の黒い髪を揺らす。

「……平和だなぁ」

そう思い、私は瞼を閉じようとした。
そのとき、誰かの寝息が聞こえてきた。

「スゥ……スゥ……」

半歩の良い寝息を聞いた私は、その声の主を探した。

意外にもすぐに見つかったその声の主は、白く短い髪をした青年だった。

「ギムレー!」

私は、ギムレーであろう青年に近づいた。

「……ん?」

私の声に気付いた彼は、ゆっくりと起き上がり私を見る。

そのときの彼の目は、私の知るギムレーとは違う、綺麗な茶色の瞳だった。

「君は……?」
「ぎゃああぁぁぁぁ!!」

友人だと思い話しかけたら知らない人だったという恥ずかしい事実。

私は恥ずかしさのあまり悲鳴を上げ、懐から魔道書を取り出してその青年の頭を殴る。

「う……!」

突然のことで反応が遅れた青年は、私の魔道書殴りが直撃し、そのまま気絶してしまった。

ごめんよ……。

「それにしても、似てるなぁ」

気絶した青年を見て、私は言う。

服装もそうだが、髪型や目の形も瓜二つだ。
違ったのは、声と瞳の色くらいだ。

申し訳ないが、私はそのギムレーによく似た青年を仰向けにして寝かせてから、またギムレーたちを探しに行った。

近くに町があったのだが、人間嫌いの彼が立ち寄ることはないだろう。

しばらく歩くと、彼が好きそうな人気のない深い森があった。
私はそこで野宿をすることに決めた。

4.絶望の先で待つキミへ→←2.光ある過去へ



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.9/10 (74 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
35人がお気に入り
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

005(プロフ) - とても感動しました!すごくシリアスな展開からのハッピーエンド素敵でした! (2018年4月21日 21時) (レス) id: 1fcd95cf50 (このIDを非表示/違反報告)
やまたこ - 面白かったです100点! (2018年4月16日 7時) (レス) id: 4e05d1b0ac (このIDを非表示/違反報告)
リムス(プロフ) - 書き人知らずさん» こちらこそ、コメントをくださりありがとうございました。この物語を読んでくださり、ありがとうございます。 (2018年3月23日 12時) (レス) id: 27e40c194f (このIDを非表示/違反報告)
書き人知らず(プロフ) - 感動する物語をありがとうございました。 (2018年3月23日 11時) (レス) id: bdbb5f59e7 (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:リムス x他1人 | 作成日時:2018年3月1日 22時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。