4.絶望の先で待つキミへ ページ5
薄暗い森の中、私は火を起こすための木の枝や葉を搔き集めていた。
火の起こし方は知らないが、こんなときのためにあるのが、例のアレである。
魔道書【ファイアー】
私は魔法を使い、木の枝に火を灯す。
1歩間違えれば山火事に成りかねないが、こういうときのために、魔法の練習は欠かさずやってきたつもりだ。
ギムレーに出会うまではずっと魔力でごり押しをしていたために気にしなかったのだが、私は魔法の命中率がとてつもなく低い。
そのために、周りを巻き込める魔道書【エクスカリバー】などを使っていた。
『攻撃の命中率が20%か……せめて50%に上げてくれないかな』
攻撃命中率を知ったギムレーが私に言った。
当初は30%になら上げれるよ、と言ったのだが、ギムレーはフッと笑った。
『50%以上に出来ないなら、僕は君の友人をやめる。そのあとに君を食い殺そうか?』
なんとも恐ろしい脅しをされ、私は泣く泣く命中率を上げる訓練をした。
彼に殺されるのは脅しでもなんでもない。
だが、友達でなくなるのは嫌だった。
彼が友達でいてくれるのなら、私はキミに食い殺されても、消されてもいい。
キミが私の友達となってくれたあの日から、キミは私にとって絶望の象徴ではなく、希望の象徴になった。
絶望を振りまくキミは、強くて真っ直ぐで、それ故に孤独な竜。
そんなキミを、私は支えたいと思ったんだ。
孤独に涙する哀しそうなその瞳を見た時から。
私は、キミの笑顔が好きだからね。
もしも今、キミがここにいたら、私はそうキミに告げれただろうか。
この好きというのは友人としてなのか、それともまた別の意味なのかは、私には分からないけどね。
それよりも、早く晩御飯を調達しなければ!
私は暗い森の中を、獲物を求めて駆ける。
そんな私を、彼が見ていたとも知らずに……。
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005(プロフ) - とても感動しました!すごくシリアスな展開からのハッピーエンド素敵でした! (2018年4月21日 21時) (レス) id: 1fcd95cf50 (このIDを非表示/違反報告)
やまたこ - 面白かったです100点! (2018年4月16日 7時) (レス) id: 4e05d1b0ac (このIDを非表示/違反報告)
リムス(プロフ) - 書き人知らずさん» こちらこそ、コメントをくださりありがとうございました。この物語を読んでくださり、ありがとうございます。 (2018年3月23日 12時) (レス) id: 27e40c194f (このIDを非表示/違反報告)
書き人知らず(プロフ) - 感動する物語をありがとうございました。 (2018年3月23日 11時) (レス) id: bdbb5f59e7 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:リムス x他1人 | 作成日時:2018年3月1日 22時