其の拾陸 ページ35
太宰の言葉でAの何かがキレる音がした。だがその感情を直接的に表さず、先刻と変わらぬ徴発的な笑みで太宰に云う。
『妬み…?先輩にそんな感情を持つわけないじゃないですか。寧ろ私は哀れみの感情持ってますよ。
先輩はあの人の言葉通りに【救う側】になったわけですけど今の貴方の行動は自分はあの人との約束を守っていると信じ込み誰かの為じゃない、あの人の為じゃない、自分の為にやっている。ただの「自己満足」です。そうしないと自分の生きている理由が見つからないから。
それに気付いてるのか気付いてないのかは知りませんがどちらにせよ先輩の独りよがりは哀れですよ。』
Aと同じく太宰も何かがキレた。芥川はその光景に流石にやばいと思ったのか無理矢理にでもAを連れ帰ろうと一歩踏み出すがすぐに踏み止まった。二人の周りが殺気で溢れている。
中々怒りを表さない太宰でもあの人が関わると別らしい。二人とも的確に相手の地雷を突いている。
「君は私が変化したと云ったね。それが喜ばしくないとも。だが私だけじゃない、君が信じた人もいつか変わっていく。その変化は君を置いて行ってしまうかもしれない。
信じた人が自分を置いて行ってしまったら君が辛いだろう?そうなる前に君が望む場所に最も近い探偵社においでと行ったんだけどね。
君が嫌う者と私はもう同類と思っていないのだろう。君の求めるものは私に理解出来ない理由にはならない。」
『そうですね、ならその言葉は訂正します。先輩にもいろいろ教えてもらいました。マフィアとしての生き方も自分の道を探す手掛かりを。感謝もしてます。
でも私は探偵社には行きません。ポートマフィアには大切な人が多くいます。
それに私が一番欲しい言葉をくれた人はポートマフィアにいるから。』
微笑むAに太宰は目を丸くしてからすぐに笑顔に切り替わった。目を伏せて優しく「そうかい」と呟いた。
二人の周りの雰囲気が一気に軽くなった。芥川はその光景に少し顔を顰めながらも外套を翻してその場にいなかったように消えていく影のように去っていった。
少し沈黙が落ちた。その沈黙は即座に終わった。それはAの携帯の着信音。面倒くさそうに取り出し携帯の画面を見てAは顔を歪ませてから、またそれを太宰に見せる。太宰もAのように顔を歪ませた。
その画面の名は″小さなナメクジ主人″
______中原中也からの着信だった
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もちこて(プロフ) - にのさん» 続編は下書き中だったのでパスワード認証にしていました。説明不足でスミマセン!全体公開にしたので読めると思います。お褒めの言葉有難うございます(^^) (2016年12月21日 10時) (レス) id: e2caf94fae (このIDを非表示/違反報告)
にの(プロフ) - 初めまして!!いつも楽しく読ませていただいています。続編のパスワード認証なのですが、パスワードを教えていただけないでしょうか? 続きが気になります!! (2016年12月20日 23時) (レス) id: 46f96eed18 (このIDを非表示/違反報告)
もちこて(プロフ) - ももタ郎。さん» ありがとうございます!私が書く中也さんはいつもこうなってしまう(笑)更新頑張ります(^^) (2016年12月17日 11時) (レス) id: e2caf94fae (このIDを非表示/違反報告)
ももタ郎。(プロフ) - 読みやすくてすごく面白かったです!中也さんがかなり苦労人( ´ ▽ ` )続き楽しみに更新待ってます(`・ω・´)応援してます! (2016年12月17日 8時) (レス) id: 25ccc3b433 (このIDを非表示/違反報告)
もちこて(プロフ) - もこさん» ありがとうございます!面白いと言われると嬉しいです。更新早く出来るよう頑張ります(^^) (2016年12月14日 21時) (レス) id: e2caf94fae (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:もちこて | 作成日時:2016年8月8日 13時