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黒々とした木々の合間から、件の見張り塔跡地が見えてくる。この高度で行けば、ちょうど塔屋が見える筈。かなり朽ちた外見は以前見たものと何ら変わりがない。はずだった。

塔屋の下の曲がった窓面に、かすかな明かりが灯っていた。
ゴーストポケモンの放つ燐光とは違う、暖色の照明のような。


「…こちらキバナ、最上階の窓部に明かりのようなものを視認。確認願います」

「ん…地上からは見えないな」

「ちょうど塔がひん曲がってる所の上なんで、上空からじゃないと見えないと思います。ヘイ、ロトム」


自分のスマホロトムを片手で呼び出し、カブさんのスマホに窓を拡大したビデオを同期してもらう。


「人工的なランプに見えるね…揺れているのは、小型ポケモンがいるのかもしれない。ぼくは一旦止まろう、塔から見えない箇所から徒歩で近づく。キバナ君はそのままもう少し近づけるかい」

「若しくは巷で噂のゴースト、ですかね。オレは屋上までそのまま行きます、そこから入れるかもしれない。しっかりした作りだったら、そのままフライゴンを迎えによこしますから、カブさん乗ってきてください」

「…上空からは君に分があるか、了解。崩落の危険があったら無理に入らずに帰還すること、いいね」


了承の返事をして高度を上げ、塔の屋上全体を見渡す。

地上土台部に比べてこちらは古びてはいるが、過度に劣化しているようには見えない。そろり降り立ってみても、軽く足踏みしてみても石畳は振動もせず、難なくキバナの体重を受け止めている。


「ん、強度は大丈夫そうだ。じゃあフライゴン、カブさんを頼むな」


ふるる、と嬉しそうに頬ずりをして、フライゴンはふもとの暗闇まで音もなく滑空していく。余韻のねじれ風を感じながら腰のハイパーボールをなでつければ、フライゴン以外の皆から振動で反応が返ってくる。

昼間のトレーニングバトルに続いて、こうして夜まで捜索に付き合ってくれるパートナー達には感謝しかない。リーグのオフシーズンである今のうちに、彼らには休養と共にしっかりメンテナンスしなければ。


「みんなも頼むな。出してやれるかどうかは分からないが。…はてさて、迷子のドラメシヤか、はたまたデュラハンとでも相まみえますかね」


外から見た様子では、すぐ下の空間が明かりのあった部屋のはず。スマホロトムにサイレントモードとライト点灯を指示しながら、先行して階段に足をかける。

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設定タグ:キバナ , ポケモン剣盾 , 夢小説   
作品ジャンル:恋愛
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作者名:aks | 作者ホームページ:http://alterego.ifdef.jp/  
作成日時:2022年10月1日 21時

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