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糖分補給用の飴玉を複数、行儀悪くかみ砕く。
迷子のポケモンを追った先であんな出会いをするとは、予想しなさすぎる。謎が倍以上に大きい謎になってしっぺ返しを食らった気分だ。
なぜあの場所に、大量のドラメシヤ達と一緒に?何故古い言葉を話せる?なんでオレたちの言葉も喋れる?彼女は何をして暮らしている?彼女は何が好き?…全くもって、会話が足らない。
「ぼくからもキバナ君に頼みたい。ナックルシティからは多少遠いから大変だと思うけれど…三匹ならいざ知らず、あれだけ大量のドラメシヤ達を見てしまっては、やはり君が適任だろう。もちろん彼女のことも。ぼくもできるだけ行きたいが…まいったな、コミュニケーションに大分難があるなあ」
「なんだったらうちのジム、キュレーター資格持ち何人かいるんで、落ち着いたら同行させますよ。リョウタあたりなんかは、オレと同じくらい会話できるはずです」
「ほんとう?それは頼もしい。はは、古代ガラル語か…ホウエンからこっちに来た時も言葉に苦労したけど、またこうなるとは、ね」
「カブさん既にホウエン語とカントー語、ガラル語のトライリンガルじゃないですか。毎年リーグの観光案内ブックでは大活躍なんですから。今回は、たまたまオレの研究分野の被りでお役に立てて良かったです。っと、このあたりまでくれば大丈夫ですかね」
「ああ、ありがとう並走して送ってくれて。あらためて、今日はありがとう、キバナ君。フライゴンも。君たちのおかげで無事に帰れたといってもいい」
ドラメシヤの件は一度リーグへの報告は保留して、もう少しぼく達が事態を把握してからということで良いかな、とカブさんは続けて述べた。おおむね同感だった。今報告したところで、あんだけ個体数がいたら調査隊が組まれてもおかしくない。無理な調査は彼女とも軋轢を生む。無用のバトルや興味本位の接触は、なるべく避けたい。
「オレは…次は三日後の日中ならジムトレーニング終わり次第予定空いてますんで、もう一回彼女…Aを尋ねようと思います。で、カブさんに報告入れます」
「ありがたい。エンジンジムも力になれることがあれば、何でも言ってほしい」
「ありがとうございます。じゃあ、また」
カブさんと別れ、あくびを噛み殺しながらナックルシティの自邸へと急ぐ。
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作者名:aks | 作者ホームページ:http://alterego.ifdef.jp/
作成日時:2022年10月1日 21時