押せば成る【影山飛雄】【４】

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「怒ったり照れたり爆笑したり、最近よくいろんな顔するようになったんだよな」

「Aさんスか？」

「うん。人間味がいい感じに出るようになった」



ニンゲンミ…と首を傾げながら俺の言葉をぶつぶつと繰り返す影山。まあわかんないならそれでいいか。



「確かによく笑われますけど」

「だろ」

「でもなんか、バカにされてんじゃねえかって」

「ははは！あいつ笑い方がなんか人をバカにしてるっぽいもんなー」



" なに笑ってんすか！" が最近の影山の口癖だって、前に七海が言ってたな。

なんだかんだその感じ、こいつららしいと思うけど。



「…でも、俺だけじゃねえと思います」



影山の発言に、ん？と耳を傾ける。



「Aさんが泣いてるとこ見たことありましたか」

「ああ、そういえば今日初めて見たかも…？」

「…たぶん、今回避けられてたのが菅原さんじゃなくて俺だとしたら、Aさんはあんなに泣いてないと思います。ふーんって済ませて、また俺からなんか言ってくるのを待つとか」

「………ん？」

「Aさんがいろんな顔するようになったのは、俺だけのおかげじゃねえってことです」



『相手が菅原さんだからあんなに泣けるんじゃないスか』と言い放つと、さも自分は何も言っていないかのように何食わぬ顔をする影山。

励ましなのかと一瞬思ったが、影山はそういうことを得意とするタイプではない。

直感で感じたことをそのまま言葉に反映させたのだろう。

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