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15. 悪魔と天使 ページ15





「西川さんおはよ」

「角名くん!おはよお」



俺の腕を引く角名に連れられてきたのは、1人黙々と机に向かっとった西川さんの席。

顔を上げて角名に気づくと、俺の大好きなにっこにこの笑顔で挨拶を返す。



「どうしたん?なんか用事?」

「いや、治が西川さんと話したいらしくて」

「角名ァ!?!!?」



角名の突然の発言に思わず腹から声が出る。

話したいとか言うてへんし!いや!話したいけど!

だいたいあんなことあってんから西川さんもさすがに気まずいやろ…!

…とかいう心配はいらんかったらしい。



「私と?ええよ、どうしたん?」



角名から俺に移った西川さんの目線は、特に何かを気にしとる感じは一切ない。

え、ほんまに何も思てへんの?なんかそれはそれで傷つくような…って、今はそれどころちゃう!



「アッいや別に、よ、用事があるとかやなくて…」

「?」

「〜〜〜っ角名!!無理やって!!……あ!?どこ行ってんあいつ!!!!」



たじろぐ俺を綺麗な瞳で見つめてくる西川さんに耐えきれず、角名に助けを請うも返事はない。

振り返ればもうすでに自分の席に戻っとって、たぶんカメラを起動してるであろうスマホをこっちに構えとる。

あかん。あいつ悪魔や。大悪魔。


……でも逃げられへん。なぜなら、悪魔とは逆の方向を向けば、俺を見つめる天使がおるから。



「…ん"ん"っ、ごめんな、用事あるとかちゃうねん。
ただ、良ければ西川さんと仲良うなりたいなあと思っとって」

「………」

「…ダ、ダメですか…」



キョトンとして俺から目を離さん西川さんを、負けじと俺も見つめ返す。

俺は精一杯やったつもりや。これでなんか否定的な返事がきたら、心も折れて諦めがつくやろ。

数秒ほど沈黙が続いたあと、西川さんは突然ぱああっと目を輝かせて笑みを浮かべた。



「ええの?私も仲良うなりたい!!」



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作者名:みずかわ | 作成日時:2021年1月10日 14時

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