16. 天国での握手会 ページ16
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……え?
俺、いつのまに天国に来た?
「バレー部ってファン多いやん?やけどあんまり女の子と仲良うしとるとこ見いひんかったから、気安く話しかけたらあかんのかな〜て勝手に思っとってん!」
俺が今まで見た中でも最上級の笑顔の西川さん。
嘘やろ。この子、俺にもこんな顔してくれんねや。
「せっかく同じクラスやし仲良うしたいもんね!これからよろしくなあ宮くん」
「っえ」
「ん?」
「な、なんですかこの手?」
「え?握手やん」
俺に向かってスッと手を差し出し、当然のように言う西川さん。
握手?あ、く、しゅ?
手を握るって書いて握手やで?握手会、なんて言葉があるくらいには価値のあるもんやで?
「無料ですか?」
「はい?」
「早く握れバカ治!!!!!」
「うわーーー!!!」
そんなことをやっとるうちに、知らん間にまた現れた角名に無理やり西川さんの手を握らされた。
驚きでつい大声を上げる俺。
西川さんはというと、俺と握手している手を軽く上下に振りながら笑っとる。
「なんやよーわからへんけど、宮くんと角名くんのコンビはおもろいねんなあ」
「いや、治がおもしろいのは西川さんの前だからだと思うよ」
「あはは!なんなんそれ!」
和やかなムードが漂う中でも、俺と西川さんの手はまだ繋がっている。
あー、幸せや。初めてや、こんな感情。
まだまだ何も始まっとらんのに、俺は完全に有頂天になってしまっとって。
あの悪夢を、すっかり忘れてもうてた。
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作者名:みずかわ | 作成日時:2021年1月10日 14時