11. 出くわす悪夢 ページ11
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そうして今日の日程が終わり、選手は早めに帰るようにと指示された。
「…はあ」
「今日は散々だったね」
「ほんまにな」
エナメルバッグを肩にかけて意気消沈する俺に、軽く笑いながら声をかけてくる角名。
「よりにもよってツムのファンかい…」
「まさかすぎて俺も久々にあんな慌てたわ」
「あっ！宮くんに角名くんやん！」
どんまい、なんて言うてくる角名にうっさいわ、と悪態づいていると、背後から聞こえる穏やかな声。
肩を落としたまま振り返れば、そこにいたのは。
「！？…西川さ…っ」
「お疲れさま、みんなかっこよかったなあ」
にっこにこの眩しい笑顔でこちらをまっすぐ見てくる西川さんやった。
え？なんでここおるん？嬉しいねんけど！！とわくわくする気持ちとは反対に、今日の衝撃的な光景がパッと頭に浮かんでくる。
「…西川さん、ツムのファンやったん…？」
「え、あははバレた？うちわ持っとったから？」
恐る恐る聞くと、えへへと照れ笑いしながら答える西川さん。あかんかわええ。無理。
それと同時に「自ら再確認してどうすんねん」と心の中で自分にツッコんだ。西川さんの口からその事実が出たんならもう確定やんけ。
「おいサム〜お前なに先帰ろうとしてんねん」
「あっ！お前はこっちくんな！！」
項垂れる俺の耳に届いてくる嫌な声。
俺ん中の危険察知レーダーがビンビンに動いて、反射的にそれを食い止めようとする。
が、もう遅かった。
「…誰？……ああ、あんた俺のうちわの……」
「うぇぁっ！？あ、あああ侑くん！！！！」
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作者名：みずかわ | 作成日時：2021年1月10日 14時
