2. UFOと好きな子 ページ2
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「で?西川さんのどこがいいの」
昼休み、昼食を共にしている治に問いかける。
一旦キョトンとしたあと、すぐに恥ずかしそうに顔を逸らしながら治はため息をついた。
「っ……あのなあ、俺は好きなんて一言も…」
「あ、西川さん」
「!?!!?」
「うそ」
「…お前、しばくで」
少しちょっかいをかけてみれば、顔を真っ赤にして拳を突き出してくる。
いや、引っかかるにしてもそんな壮大なリアクションするほうが悪いでしょ。
「もう認めなって、さすがに誰でもわかるから」
「……俺、そんなわかりやすい?」
俺の呆れた態度に、妙に不安そうな顔をして訪ねてくる治。男にその顔されてもなあ。
「うん、めっちゃくちゃ」と返すと「め、めっちゃくちゃ…?」とさらに不安がっている。それがまたおもしろくて、うんと頷く。
「…西川さんにも伝わっとるかな?」
「それはないんじゃない?そんな関わりないでしょ」
「そうか…」
ほっとしていたのも束の間、ひとつの机を半分にして昼飯を広げる俺たちの横をスッと通るひとつの影。
それが西川さんだとわかった瞬間、治はUFOでも見たかのようなひどい顔で「うわっ!!」と驚いた。
「えっ?」
「っあ、ご、ごごごめん!!なんもない!!」
「あ、うん」
同じクラスではあるもののまともに話したことのない西川さんの声は、思ったよりも高くはなく、どちらかというと落ち着く声だった。
とはいえ好きな子が横を通っただけでこの反応をする治。どう考えてもおもしろくて、西川さんが通り過ぎたあと俺は腹を抱えて笑った。
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作者名:みずかわ | 作成日時:2021年1月10日 14時