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大蛇丸の言葉で、全員の視線はカカシに注がれる。
そんな中、ドアの前に立っていた人物はゆっくりとカカシの方へと歩みを進め、大蛇丸の方に向き直るとペコリと小さく頭を下げた。
栗色の髪がそれに合わせてサラリと揺れ動く。
「お久しぶりです、大蛇丸さん。お元気そうでなによりです。」
「フフッ、貴女は相変わらず外では敬語なのね、A。」
「はい、これが一番面倒事を避けられます。」
「で、A。何しにここへ来たの?」
大蛇丸とAが挨拶を終えるのを待って、カカシは端的にそう尋ねた。
「この書類を、ミナトさんがカカシに持っていけと。恐らくここだろうとのことでしたので。」
「書類、ねぇ……。」
Aはそう言いながら自身のトートバッグの中を漁ると、ミナトに託された書類を取り出して封筒ごとカカシに差し出した。
カカシは素直にそれを受け取る。
「しかし、驚きです。カカシさんが、暁組のうちはオビトと仲良く酒を酌み交わす中だったなんて。」
「とかいいつつ、お前……そんなに驚いてないデショ。」
「そうですね、うちはオビトは例の事件の関係者。カカシと酒を酌み交わしていたとしても、立場さえ気にしなければ何一つ不自然なことはありません。」
「おい!カカシッ!!何だコイツ!」
淡々と会話を交わすAとカカシに割って入ったのは、「こんな奴が来るなんて聞いてねェ!」と警戒心丸出しで毛を逆立てている猫の様になったオビトで、あからさまに自身を警戒しているオビトにAは徐に視線を向けた。
「な、な、なんだよ……。」
「や、やんのかコラ」となんとも威勢のない声で言ったオビトにAはツカツカとローヒールを鳴らしつつ距離を縮めると、徐に自身の上着を脱ぎ捨て、シャツのボタンを外し始めた。
「は、はぁあぁ?!」
唐突すぎるAの行動にオビトはただ動揺するばかりだが、カカシも大蛇丸も静かにその様子を見守るだけだ。
「ちょ、おい!カカシ!こいつ頭おかしい……の……か?」
ついにシャツを脱ぎ捨て、キャミソール姿になったAから顔を真っ赤にして目を逸らし、カカシに助けを求めようとしたオビトだったが、Aが髪を掻き上げ、首を傾けることで露わになった鎖骨の辺りの傷跡を見て目を見開いた。
「初めまして、うちはオビト。私は、例の男……スティグマ事件、唯一の生き残りの千住Aです。」
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テン(プロフ) - 星猫さん» 星猫さん嬉しいコメントありがとうございます(*^^*)更新が停滞していて申し訳ありません。今後も楽しんで貰えると光栄です♪ (2021年9月27日 21時) (レス) id: 7837fbad55 (このIDを非表示/違反報告)
星猫 - 初めまして!とっても素敵ですね!高評価しました! (2021年9月10日 23時) (レス) id: f84c743866 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:テン | 作成日時:2021年4月20日 0時