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「この忙しい時に休みなんてと思ったけど……こりゃぁ、休みをくれた上司に感謝するしかないな。」
「フフッ…私達の代わりにぼやきながら仕事してるだろうシカク達にも感謝しなくっちゃね。それにしても……我が娘がこんな出来た子に育ってたなんて、もう、なんか……感動っ!」
「そりゃぁ俺の子だからな!とーぜんだっ!」
「もう!ほら見なさい!そうやってあなたはすぐ調子に乗るんだから!」
こうして、笑顔の絶えない幸せな一日が
最期の一日が
幕を開ける
朝食を食べ終えた三人は、普段より少しばかりのお洒落をして久しぶりに家族揃って家を出た。
多忙を極める両親が揃ってAのそばに居るのは本当に久しぶりで、Aはずっと今日のことを楽しみにしていたのだ。
自分の誕生日に両親が二人揃って一緒にいてくれると聞いた日は、全身で飛び跳ねて喜んだ。
片方の手に大きく強い手が
もう片方には優しく柔らかな手が
Aの小さな掌を包んでくれている。
それだけでAは本当に嬉しかった。
その日は数日前から三人で計画していた通り、まずは水族館に向かった。
「美味しそう」と水槽に張り付いて呟いたマサに、Aとシズカは顔を見合わせてくすくす笑う。
イルカのショーでは、前の方でみようと張り切った結果、三人揃って盛大な水飛沫を浴びた。
仕方が無いので、そのままショッピングモールへと向かい、ファッションショーをしながら、それぞれの服を選んで、それに着替えた。
調子に乗って「うまいステーキを食べよう!」と言い出したマサに対して、若干怖いオーラを放ったシズカだったが、マサをキラキラした目で見つめるAに気が付くと、「しょーがないなぁ」と苦笑しつつ肩をすくめた。
水族館で買ってもらった大きなイルカのぬいぐるみが、Aの誕生日プレゼントとなり、レストランではちゃっかりAの横の席に座っていた。
そうして楽しい一日もあっという間に夕刻となり、お気に入りのケーキ屋さんで選んだイチゴのショートケーキを箱に詰めてもらっている時、マサの携帯が静かに鳴った。
「シズカ、悪い、ちょっと話してくる。」
携帯の画面に表示された名前を見るなり、至極真剣な顔になった父親に対して、シズカも事態を察し、静かに頷いた。
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テン(プロフ) - 星猫さん» 星猫さん嬉しいコメントありがとうございます(*^^*)更新が停滞していて申し訳ありません。今後も楽しんで貰えると光栄です♪ (2021年9月27日 21時) (レス) id: 7837fbad55 (このIDを非表示/違反報告)
星猫 - 初めまして!とっても素敵ですね!高評価しました! (2021年9月10日 23時) (レス) id: f84c743866 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:テン | 作成日時:2021年4月20日 0時