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鼻頭を指で搔きながら言ったテンゾウにAはどう答えるべきか悩んでいたが、先に言葉を続けたのはテンゾウだった。
「あぁ!別に、Aさんが千住を名乗って居る事をどうこう言っているわけではないんですよ?!僕らの家がちょっと特殊ってだけで……。」
「あの……テンゾウ、”どうこう言う”……とは、いったいどういう意味でしょうか?」
「えっ?!えっと……えっとそれはですねー……。」
「それは?」
大きな二重の目をじっと向けるAは、テンゾウを責め立てているつもりは一切ない。
ただ、曖昧な表現をされた事でテンゾウが言葉に含んで伝えたかった事を理解することが出来ないだけだ。
人の気持ちに疎いAは、人がそういう行間で伝えようとするような曖昧な表現を読み取ることが非常に苦手なのだ。
「うっ……えぇぇっと……それは……カカシ先輩ー!!」
視線に耐え兼ね、Aに”どうこう言う”の内容を波風を立てず上手く説明する事出来そうにないテンゾウが音を上げてカカシに助けを求めれば、仕事の片手間で会話を聞いていたカカシは溜息を吐いて視線を持ち上げた。
「はぁ……ったく。A、気にしなくていいから。”どうこう言う”はAが知る必要もないテンゾウの勝手な思考だよ。」
「そうですか……分かりました。テンゾウ、無駄に追及してしまい申し訳ありません。」
カカシにそう説明されたことで素直に納得したAは、テンゾウに頭を下げた。
「い、いえ……なんか複雑ですけど……。」
「なによ。お前がちゃんとAに説明するってんなら止めないけど?」
「いえ!何でもないですっ!!上がります!お疲れ様でしたっ!!」
カカシにジト目で見られたテンゾウが手本の様に綺麗な敬礼をして部屋を出て行くのを見送ったAは、小首を傾げながらも自身の席に戻り腰掛けた。
それとほぼ同時に、室内に欠伸を噛み殺しながらミナトがやってきた。
「おそよーございます班長。」
「ハハッ、遅くなってごめんねアスマ。ちょっと一課に捕まっててね。」
いつの間にか姿が見えなくなっている紅に渡された酔い覚ましのドリンクを飲み干したアスマにそう声を掛けられたミナトは、軽く笑って手にしていたファイルを振った。
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テン(プロフ) - ハルさん» ハルさんいつもいつも本当にありがとうございます!もー!ハルさんに誉めてもらえたらそれだけでやる気でます!(>_<)更新ゆっくりめで申し訳ありませんが、ハルさんの作品と言葉を活力になんとか頑張りますっ!苦笑 (2021年2月16日 0時) (レス) id: a5f75c2f95 (このIDを非表示/違反報告)
ハル(プロフ) - テンさん…どうしたらこんな素晴らしいお話が思いつくんですか( ; ; )続きが気になって仕方ありません!!もう一つの作品もそうだし、やっぱりテンさんの書くお話大好きですー( ; ; )中々忙しいかと思いますが、頑張ってくださいね!!応援してます♪ (2021年2月15日 8時) (レス) id: 8c65bc0e51 (このIDを非表示/違反報告)
テン(プロフ) - ハルさん» いや……もう……ハルさんの語彙力を私に分けてください!(T-T)取り敢えず、少しずつでも更新出来るように頑張ります(*^^*) (2021年1月23日 1時) (レス) id: a5f75c2f95 (このIDを非表示/違反報告)
ハル(プロフ) - テンさん、新作おめでとうございます!相変わらずの文才で惚れ惚れしてしまいます…お話の続きもとっても気になります(*^^*)続き、楽しみにしてますね〜!! (2021年1月22日 7時) (レス) id: 8c65bc0e51 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:テン | 作成日時:2021年1月21日 22時