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「……あーくそっ。なんなんだよお前らコンビは!!化け物かっ!!」
朝から酷い顔で悪態をついたのは、波風ミナト率いる特別機動捜査隊の猿飛アスマだ。
「アスマ、顔色が良くありません。大丈夫ですか?」
涼しい顔つきで、書類整理をしながら机上に項垂れているアスマに声を掛けたのは、先日この課に配属になったばかりの千住Aだ。
大きな二重の瞳を瞬かせて首を傾げる彼女は、黙っていれば美女と呼ぶに相応しい容姿をしている。
しかし残念ながら彼女はこの警察署内で”変人”というレッテルを貼られる厄介者だ。
そんなAに怪訝な顔を向けたアスマは溜息を吐きながら机上に突っ伏した。
「大丈夫じゃねぇよ……見りゃ分かるだろ?……俺はな……A、お前と同じだけしか飲んでねぇんだよ。」
木ノ葉高等学校での事件解決のその夜、ミナトの提案によりAの歓迎会が催された。
『歓迎会をするよっ!』のミナトの明るい声に酷く嫌な顔をしたAだったが、上司の誘いを断る訳にもいかず、カカシに説得されて参加することを承諾した。
そんなAに対して、素顔を暴いてやると意気込んだアスマに注がれるまま酒を飲み続けた昨晩だったのだが……
結果として潰されたのはアスマの方だった。
「私と同じだけしか飲んでいないと言うのなら……何故、そのように顔色が悪いのでしょう?」
本気で分からないと困った顔になるAに、項垂れたままで視線だけを向けていたアスマはぼそっと呟く。
「だから……化け物だっつってんだろ。」
「……すみません、良く聞こえなかったのですが、辛いのでしたら何か薬をお持ちしましょうか?」
「あーA。アスマの事はほっとけばいいから。それよりその資料、もう見終えたならこっちに貰っても良い?」
「あ、はい。どうぞ。」
隣で無言のままパソコンに向かっていたカカシが、Aとアスマの会話を見兼ねてそう声を掛ければ、Aは素直に持っていた資料をカカシに手渡した。
そんな二人に何かを言い返す元気は残っておらず、アスマはゆるりと身体を起こした。
「全く……無駄な勝負でしたね。」
「うるせぇよ。」
タイミングよく身体を起こしたアスマの机上に珈琲カップを置きながら苦笑するのは、その相棒のうちはイタチだ。
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テン(プロフ) - ハルさん» ハルさんいつもいつも本当にありがとうございます!もー!ハルさんに誉めてもらえたらそれだけでやる気でます!(>_<)更新ゆっくりめで申し訳ありませんが、ハルさんの作品と言葉を活力になんとか頑張りますっ!苦笑 (2021年2月16日 0時) (レス) id: a5f75c2f95 (このIDを非表示/違反報告)
ハル(プロフ) - テンさん…どうしたらこんな素晴らしいお話が思いつくんですか( ; ; )続きが気になって仕方ありません!!もう一つの作品もそうだし、やっぱりテンさんの書くお話大好きですー( ; ; )中々忙しいかと思いますが、頑張ってくださいね!!応援してます♪ (2021年2月15日 8時) (レス) id: 8c65bc0e51 (このIDを非表示/違反報告)
テン(プロフ) - ハルさん» いや……もう……ハルさんの語彙力を私に分けてください!(T-T)取り敢えず、少しずつでも更新出来るように頑張ります(*^^*) (2021年1月23日 1時) (レス) id: a5f75c2f95 (このIDを非表示/違反報告)
ハル(プロフ) - テンさん、新作おめでとうございます!相変わらずの文才で惚れ惚れしてしまいます…お話の続きもとっても気になります(*^^*)続き、楽しみにしてますね〜!! (2021年1月22日 7時) (レス) id: 8c65bc0e51 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:テン | 作成日時:2021年1月21日 22時