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 お腹にじんわりとした熱が広がっていく。柔らかめに固められている卵と、歯応えのある緑色をゆっくり噛み締めた。つぼみ部分はそうでもないが、黄色い花部分はやや渋めだった。スープの塩味と甘みが、苦味と混ざって主張を消していく。温度と独特な香りだけが口に残った。


「菜の花の花、苦くない? アクが強いけれど、とても栄養がいいの」
「そこまで苦くないよ。そういえば私、菜の……ゴホッ、この野菜、食べたこと、あったっけ、ゴホゴホっ」


 喋っている途中でむせた。母が心配そうな顔をして渡してくれたお水を受け取るも、咳が中々しぶとかったので口にするまでに時間がかかった。グラスの中の水が危なげに揺れる。

 ようやく調子が戻り、風邪が治っていなかったのかと心配する母に「大丈夫、元気だよ」と腕を直角に持ち上げて力こぶをつくった。正確には作るふりをした。

 腕の筋力が発達しているとは言い難い私であった。発熱と戦闘したついでに、戦利品として筋肉を手に入れてくれれば嬉しかったが、風邪をひいて筋肉がついたなんて話は聞いたことがない。第一号になるチャンスも逃してしまったみたいだ。


「気をつけるのよ。そうだわ、A。このまえ豪炎寺さんがお見舞いに来てくださったのよ」
「ごちそうさまでした。豪炎寺さんが? いつ?」
「数日前にね。松風くんたちも心配していると言っていたわ。それから……例の法令の影響で学校のサッカー棟が取り壊し寸前になったり、一悶着あったそうよ。でもなんとか、サッカー部についても廃部は見送りになったみたい」
「ちょっと待って、法令って? サッカー棟が取り壊し寸前に、廃部ってどういうこと?」


 母は順番に説明してくれた。その曇った表情に、内容に、胃がじわじわと質量を増していくような圧迫感を覚えた。

 ひと月前、円堂さんが亡くなったこと。
 『サッカー禁止令』なるものが発令され、雷門中でもサッカー棟が野球部の練習場所になりかけたこと。
 豪炎寺さんが掛け合ったことで、なんとかサッカー部もサッカー棟もとりあえずの存続許可を得たこと。

 豪炎寺さんが訪ねてきたのは、学校を休み続けている私に対してその報告をするためだったらしい。そして改めて私の意思を聞きたい、とも言っていたと。私は寝込んでいたために、そんなとんでもないニュースを見聞きする余裕も、話をする余裕もなかった。

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作品ジャンル:アニメ
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見卯*..+*(プロフ) - 宮野冬姫さん» お返事遅れてごめんなさい🙇‍♀️ ヤム・ハ・メラハの件については修正を入れて姿を消していますが、そのうちまた出てくると思います。関連は薄いですが、その時は葉王に思いを馳せながら読んで頂けると嬉しいです......☺️ (2022年9月7日 20時) (レス) id: e1b9a46973 (このIDを非表示/違反報告)
宮野冬姫(プロフ) - 今気づいたけど、葉王って……プークスクス← (2022年8月24日 15時) (レス) @page24 id: 09433d1ffe (このIDを非表示/違反報告)
宮野冬姫(プロフ) - もちろんイナズマイレブンシリーズについても……グヘヘ(( (2022年8月24日 15時) (レス) @page24 id: 09433d1ffe (このIDを非表示/違反報告)
宮野冬姫(プロフ) - 語り合いたいですぅ!! (2022年8月24日 15時) (レス) id: 09433d1ffe (このIDを非表示/違反報告)
宮野冬姫(プロフ) - そうだったんですか!マギを知ってるなんてメチャクチャ嬉しい!!! (2022年8月24日 15時) (レス) id: 09433d1ffe (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:見卯*..+* | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/miumiu01/  
作成日時:2022年7月19日 20時

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