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(うっそでしょ…)
心の中で思わずそう呟いた。それにリンクするように両手で受け取った名刺が小刻みに震える。
ｰｰ目の前には、今朝私を助けてくれた男の人がいた。
(まさか取引相手だっただなんて…)
今すぐにでも隣で花丸満点の営業スマイルで名刺交換をしている先輩に教えたかったが流石にそれはまずいのでぐっと堪える。
相川真冬さん。それが彼の名前らしい。
相川さんは私と目が合った瞬間、気まずそうに目を逸らした。
「ｰｰそれじゃあ今回はよろしくお願い致します……宮代？」
「へっ？あ、よよよろしくお願い致します…！」
先輩の私を呼ぶ声で我に返り、慌てて先輩と同じように腰を曲げた。まずい、仕事中なのに…！
一瞬だけ視界に入った先輩の表情からして、あぁ、これは後でお説教コースだな、と察してしまった。
____
「ほんっまにお前は〜！！俺何のためにあの会社に行く前にあぁ言ったと思ってるんや！」
「す、すみません…」
あれから集中しなきゃ、と思えば思うほど、どんどん集中力が途切れてしまい、あれ以降にも似たようなミスを何度もおかしてしまった。
そして打ち合わせが終わり、本社に戻った今、当然の如く怒られている。
先輩の言葉に相槌を打ちながら何度目かのすみません、を言うと、一通り言いたいことを済ませた様子の先輩はは〜、と溜息をつきながら片手で顔を覆った。
「お前普段はすごい真面目にやってるの、知ってるからこそ他の人に勘違いされたくないんよ」
やから、次からは普段の一生懸命なお前でいけよ？そう笑いながら話す先輩が、なんだか眩しく見えた。いつも先輩には怒られてばかりだけど、最後は必ずフォローを入れてくれる優しい先輩だ。
「はい、ありがとうございます…折原先輩」
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