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「「かんぱーい!!」」

あのランチから数日後、苦手なお酒を片手に乾杯をする。
小さい居酒屋を貸しきっての飲み会は、始まりから大盛況だった。


「あれ……?」

「天宮さーん、こっちきて一緒に飲みましょー?」

「あぁうん…ちょっと待って。」


誰だかあまり覚えてない、秘書部の女性を適当にあしらいお目当ての彼女を探すが見当たらない。あれから連絡先も交換して、ほぼ毎日連絡を取り合ってるからこれなくなったら連絡くれるだろうし。


「どうしたんだよ天月。」

「Aは?」

「ユキさん?あれ、会社出るときにはいたのに……」

「来るって言ってたよね?」

「言ってた!俺めっちゃテンション上がって…おい天月!?」

「俺ちょっと抜ける!!あとよろしく!!」


引き止める声を無視して、彼女に電話をかけるが繋がらない。
…なんだろう、すごく嫌な予感がする。無事でいてくれればいいけど…なんて決してよくないことを考えながらセキュリティを開ける。
シーンと何も聞こえない社内をくまなく探す。


「帰るわけないだろうし…!?」


歩いていて何かを蹴っ飛ばした気がしたので、見てみればそれは彼女の携帯で。
耳を済ませてみると、遠くから何かを叩く音が聞こえた。まさかと思って自分の耳だけを頼りに進めば。


「おいおい。嘘だろ…!?」


目の前には鍵のかかった倉庫、そしてそのドアを誰かが叩いている。このドアは内側からは開けられないようになっているから、誰かが閉じ込められるなんて事はまずない。鍵がない以上は壊すしかないが、命には代えられないよね。


「ドアから離れて!!」


ドアの向こうに聞こえるように大声で叫んでから、大きく深呼吸して息を整える。
このドア……開くといいな。よしっと大きく叫んでから力をためる。

「……やぁっ!!!」


そのドアは思いのほか脆かったようで、バキッと音を立てて外れてしまった。
中にいる人に当たってないよな…とか思いながら恐る恐る中に入ってみる。
そして俺は、いてほしかったような、いてほしくなかったような彼女を見つけた。


「大丈夫?……A。」

「天月君……」

「ほら、おいで。」

「こわかった…こわかったよ……」


泣きそうだったので抱きしめれば、俺の腕の中で泣き出す彼女。
理由を聞くのはしばらく後にしよう。そう思いながら彼女の背中をさすり、落ち着かせるように頭を撫でた。
彼女が泣き止んだのは、それからしばらく後のことだった。

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作者名:時雨 x他5人 | 作者ホームページ:***  
作成日時:2019年8月15日 23時

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