□ 見ていたくて ページ20
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いつも以上に緊迫した現場に、監督の声が響く
<シーン33 よーい、スタート!>
――――――――――――――・・・
カメラは、座り込む男に銃口を向けたAを遠景から映す
「貴方が見捨てた人質の遺族には、貴方のご家族も随分と酷い目に合ったみたいですねぇ」
『黙れ』
「毎日貴方のご実家には張り紙や無言電話、窓ガラスが割られたりもしたそうですね」
『・・・・・黙れ』
小さかったAの声が次第に大きくなる
「しかしどこから嗅ぎつけたんでしょうねぇ、森川遥のせいで息子さんが亡くなったなんて・・・・」
『、、、!』
ハッとした表情を浮かべるAに男が続ける
「でもまぁ、貴方のご家族がまさか
嫌がらせを苦に心中しちゃうなんてねぇ・・・・」
『黙れ!!!!』
銃口を男の額に強く押し付けトリガーに指をかける
――――――――――――――・・・
<カット!>
監督の声と共に皆が動き出すが
銃を構え叫んでいたAの姿は森川そのもので、現場のスタッフは思わず息を呑んでいた
作品を作る上で演技力は必須だが、Aは完全に役に憑依するタイプの女優でシリアスなシーンではより一層役への入り込みが際立ち、周囲を圧倒していた
―――――――――――
――――――
――
その後何テイクかを終え、休憩に入ったAの元へ足音が近づく
「お疲れ」
振り返ると、楽屋で出番待ちをしているはずの星野の姿
『お疲れ様です。あれ、源さん・・・まだですよね?』
「うん、Aの撮影見学してた」
ヘヘッと悪戯っ子のような笑顔を見せる星野の姿に、ギュッと心臓が苦しくなる
『やめてくださいよ(笑)』
「え〜、いいじゃん。Aの怒鳴り声楽しみにしてたの」
『そんなの楽しみにしないでください(笑)』
<森川さん、一旦メイク室へお願いします!>
いつものように何気ない会話を終えると同時にスタッフに呼ばれ、立ち上がる
『は―い!じゃ、血だらけになってきます(笑)』
「行ってらっしゃ―い」
星野に見送られながら
傷を負うシーン撮影の為に一度メイク室へと向かった
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狐con(プロフ) - seaさん» 温かいお言葉ありがとうございます(;ω;)今後も頑張れそうです!!(*´ω`*) (2020年12月4日 22時) (レス) id: a6b410efd0 (このIDを非表示/違反報告)
sea(プロフ) - conさんの小説好きですー。展開もconさんが思う通りにしていけばいいと思うし、画像も新しく見れて最高です! (2020年11月13日 21時) (レス) id: 781f059dda (このIDを非表示/違反報告)
狐con(プロフ) - 少女 A.さん» 現実ではあり得ないとは思いますが、ここでの源さんはかなりSNSでアピールしていたのでこうなりました。ご期待に添えず申し訳ありません。 (2020年10月9日 21時) (レス) id: a6b410efd0 (このIDを非表示/違反報告)
少女 A.(プロフ) - 撮られにいく、配信で事実を公表となるか…それまではすきだったのに、 (2020年10月8日 3時) (レス) id: 25eeb7d115 (このIDを非表示/違反報告)
con(プロフ) - erikichisanさん» ありがとうございます(^^♪)挿絵も楽しんで頂けて嬉しいです!!今後も是非源さんとの恋をお楽しみ下さい♪ (2020年9月30日 16時) (レス) id: 984b2836e2 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:狐 | 作成日時:2020年9月4日 18時