ねがてぃぶがよんじゅうなな ページ48
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大人しく話を聞く沖田を不審に思いつつ、一段と声を潜める土方。
「ただな…自分のガキが黙って上京しちまったのに、
探しもしなかったなんておかしいと思わねーか?」
「土方さんにしちゃ中々の推理だな」
「話にならねェなコイツ」
沖田は軽口を叩く。
……が、内心穏やかではなかった。
確かに、今更朝霧の元に縁談が来るのは不自然ではある。
いくら彼女が自分のことを話さないからと言って、家庭のことを話さなすぎだ。
言い方は悪いが沖田や土方のような家庭環境ならまだしも、有名な家系だったらしいためより不可解だ。
しかし、沖田が感じた違和感はそれだけではなかった。
考え込むように顎に手を当てる沖田。
「一応追い返してやったが、また来るっつってたんでな」
「……はあ、そう、ですかィ」
「あんまりしつけェと業務に支障が出る、早めに朝霧と話つけといてくれ」
そんな沖田を残し、土方は手を振って去ってしまった。
……違和感、違和感、……。
「……朝霧、ねェ」
今度こそ誰もいなくなった部屋で、1人そう零す。
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足音がする。
一人分と、僅かにもう一人分。
隊士達が騒ぎまくるため、真選組の廊下はところどころ軋んでいた。
…こんな所を足音立てず歩ける奴なんて、限られている。
土方は足を止めると、長くため息を吐き出した。
疲れきったようなため息からは、土方なりに朝霧のことを慮ってやったことがわかる。
「わざわざ後つける必要ねェだろ、
言いたいことあんならはっきり言え、……総悟」
土方は確信を持って振り向いた。
…最近の沖田は、やけに朝霧に執着している。
山崎がボヤいていたのを今更思い出し、どうせ彼女関連のことだろうと見切りをつけた。
煙草に火をつける。
土方は回りくどいやり方が嫌いだった。
気配を消していた人物もそれをやめ、近くにあった障子に身体を委ねる。
「おっと、そりゃすいませんね土方さん…
ですがそらァ俺の台詞でさァ」
「………何が言いたい?」
煙を吐き出し土方が問う。
……案の定、そこにいるのは沖田総悟だった。
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ヤマダ電機(プロフ) - 城崎 茉孤さん» 恐縮です…嬉しいお言葉ありがとうございます…!励みになります😭 (1月6日 22時) (レス) id: 7a7cca59ad (このIDを非表示/違反報告)
城崎 茉孤(プロフ) - 好きです…、文字書きとしてはクソみたいな感想投稿しちゃって申し訳ないんですけど、超好きです…。 (1月6日 12時) (レス) @page50 id: 8e9637cb28 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ヤマダ電機 | 作成日時:2023年12月10日 21時