ねがてぃぶがよんじゅういち ページ42
.
血相変えて飛ぶように戻ってきた朝霧。
おかえり、なんて言ってみても顔を青くしたまま俺に座るように促した。
救急箱を漁る彼女の正面に文句を言いつつ座る。
「消毒してもいい?」
「うへえ…」
「腕貸して」
「………」
結構嫌だったが、朝霧のすべすべした手を見ていたら断れなくなってしまった。悲しいかな男の性である。
…しかし相変わらずドジで不注意で慌てんぼだ、消毒液がぼたぼた垂れてきてやがる。気づけ。
それと対照に朝霧にしては珍しく、手際良く俺の腕に包帯を巻いていた。
伏し目がちなまつ毛を眺めながら、そういやコイツはよく怪我ばっかしてたな、と思い返す。
……道場にいた頃だったか、丸太で素振りするとかいうアホみたいなことを、朝霧はいつも真面目にやっていた。
手が擦れて血塗れになっても包帯でギチギチにして続けてたもんだから、さすがに近藤さんに心配されて止められてたっけか。
にしてもコイツは実家が良いとこの出だったのに、なんで真選組に留まることにしたのだろう。
柳生家とか、もっと名のある流派を学んでいた時期もあったらしいが……その片鱗は残っているものの、芋道場を選ぶなんて変わった奴。
……そんなに俺らが好きなのか。
「………かわいー…」
「………自分の腕が?」
「どんだけアホなんでィ」
「のっ、罵られた……」
つい口をついて出てしまった言葉に一瞬焦るが、朝霧は変人を見るみたいな目を向けてくるだけだった。
そうだったな、アホだった。
ショックを受けた様子だったが、そんな表情もかわいいと思う。重症だ。
口元が緩むのを抑えきれず、空いてる方の手で抑えた。
…それでも堪らなくて声が漏れる。
「あー……早くしてくれ……」
「えっ、ご、ごめん」
「違ェ、そっちじゃねーよ…
あと謝んの禁止っつったろ」
「……えええ、さっきから変だよ沖田」
「ごちゃごちゃうるせェ」
「ひえ……」
.
138人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ヤマダ電機(プロフ) - 城崎 茉孤さん» 恐縮です…嬉しいお言葉ありがとうございます…!励みになります😭 (1月6日 22時) (レス) id: 7a7cca59ad (このIDを非表示/違反報告)
城崎 茉孤(プロフ) - 好きです…、文字書きとしてはクソみたいな感想投稿しちゃって申し訳ないんですけど、超好きです…。 (1月6日 12時) (レス) @page50 id: 8e9637cb28 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:ヤマダ電機 | 作成日時:2023年12月10日 21時