ねがてぃぶがさんじゅうはち ページ39
.
数週間後。
例の猫は隊士たちによる厳密な審査の後、” ねこ “と命名された。
……土方さん辺りに怒られるかなって思ったけど、名前に対して難色を示しただけで、飼うこと自体は否定せず。
現在ではけばけばしていた毛並みはすっかり美しくなり、手入れの行き届いた良いとこの猫ちゃんみたいになっている。
「ね〜、ねこさん」
膝の上の暖かいねこさんを撫でると、やや低くなった声色でにゃあと鳴く。
……相変わらずもふもふだあ……なんなら磨きがかかってるような気が……。
あまりの幸福感からつい頬が緩んだ。
普段は屯所の中を自由に動き回っているねこさんだが、たまーに私の傍にすり寄ってくれる時がある。
今がそれだ。
「えへへ……ねこさん……」
「だらしねー顔」
「………沖田も今にこうなるよ」
「生憎、膝に乗ってこられるほど好かれちゃいねーらしい」
そして当たり前の様に私の部屋に居座るこの男。
お察しの通り、相も変わらないが沖田である。
正面に同じく座っている沖田だが、違うのはなぜかねこさんに嫌われていることだろう。
……それはもう、ねこさんの大好きなおやつを持っていたとしても、沖田には近寄らないレベルで嫌っている。
なんで?
「日頃の行いかなあ……」
「言うじゃねーか、オラ表出ろィ」
「す、すみません」
私の考えを読み取ったのか、怪訝な顔をした沖田。
……まじか、そんなに顔に出てた?
心の中で思うこと自体も失礼なんだけども。
嫌われたり怒られたりするのは嫌なので謝っておいた。すみません、こんな反省の仕方で…。
「にしても沖田、
ホントに何でねこさんに嫌われてるの?」
「そんなに懐かれる方が異常でさァ…
猫って本来生意気で高飛車なもんだろィ、楯突いて来やがって…わからせ甲斐はありやすが」
「言い方……」
「事実でィ……ってあだだだ!!」
沖田の失礼な物言いに気がついたのか、ねこさんは沖田を威嚇しながら爪で引っ掻いた。しかも深めに。
すごい、人の感情まで読めるようになったの?
私より賢い……。
なんて親バカを炸裂するも、血がぶしゃーってなってる沖田を前に我に返った。
うわあ、痛そう、のたうち回っちゃってる。
.
138人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ヤマダ電機(プロフ) - 城崎 茉孤さん» 恐縮です…嬉しいお言葉ありがとうございます…!励みになります😭 (1月6日 22時) (レス) id: 7a7cca59ad (このIDを非表示/違反報告)
城崎 茉孤(プロフ) - 好きです…、文字書きとしてはクソみたいな感想投稿しちゃって申し訳ないんですけど、超好きです…。 (1月6日 12時) (レス) @page50 id: 8e9637cb28 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:ヤマダ電機 | 作成日時:2023年12月10日 21時