ねがてぃぶがじゅうご ページ16
.
side 沖田
「………私が馬鹿だからわかんないのかな………」
………アホか?
聞こえてきた声に思わずずっこけそうになる。
…いや、朝霧くらげはそういう奴だ。諦めろ俺。
ふー、と長く息を吐いて肩の力を抜く。落ち着け俺。
……
……いや、落ち着けるかよ。
もう1回さっきの言葉を思い出してキレそうになった、つい顔を覆ってしまう。
「………なーにが
“ 私が馬鹿だからわかんないのかな…… ”
でィ……、鈍いにも程があんだろ……」
……なんであの女は人の好意に鈍感なんでい、そういうところも愛らしいから困っちまう。
久しぶりにちゃんと話せた喜びで大声を出したい気分だった。しねえけど。
…ちなみになぜ鈍感なのか、答えは出ている。
視線を遮っていた指をちょっと開き、その隙間から床に視線を落としてため息をつく。
どうやら朝霧はあまりに自己否定するから、他の人から嫌われていると思い込んでいるらしい。
自分を愛せないと他人を愛せない、とはよく言ったもんだ。
昨夜……今朝?も勢いに任せてプロポーズ紛いのことを決めちまったが、ボロ泣きしていた朝霧にはどこ吹く風といった感じだった。
なんならそのまま寝たし。
「ちっ……」
……いけねー、短気な男は嫌われる。
どうしたもんかねィ。
悩めど悩めど、朝霧の姿が瞼の裏にチラついて仕方なかった。
惚れてしまったものは仕方ないし、やっと彼女に話しかけるきっかけが出来たのだから、もう後に引くことは出来ない。
怯えたような、困ったような表情でこちらを見る彼女が脳裏に浮かぶ。
何を思って目を伏せてしまったかはわからないが、相変わらず泣きそうな表情がかわいいと思った。
………ただ、自分のこと以外で悩んで泣いているのは気に食わない。
はっ、最初からこっちのこと意識してねーなんていい度胸してんな、いじめ落とし甲斐があらァ。
.
138人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ヤマダ電機(プロフ) - 城崎 茉孤さん» 恐縮です…嬉しいお言葉ありがとうございます…!励みになります😭 (1月6日 22時) (レス) id: 7a7cca59ad (このIDを非表示/違反報告)
城崎 茉孤(プロフ) - 好きです…、文字書きとしてはクソみたいな感想投稿しちゃって申し訳ないんですけど、超好きです…。 (1月6日 12時) (レス) @page50 id: 8e9637cb28 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:ヤマダ電機 | 作成日時:2023年12月10日 21時