九話 浮気調査 ページ10
五郎八side
『んー…』
「母様。そわそわして、どうなされたのですか?」
ある日。
今日も母様は可愛いなと思いながらルンルンと廊下を歩いていると、ある一室の戸が開かれていて、中を見ればそわそわする母様。
思わず私は中に入り、そう問うた。
『あっ、いっちゃん…』
「私で宜しければ、何でも聞きまする」
『―子供っぽいって笑われちゃうかもしれないけど、実はね…。
今政宗さんは、いつきちゃんって農民の、女の子の元へ行っていて』
「へ?」
眉を下げて笑う母様に何だか胸が締め付けられ、私は手に触れてそう言った。
すると、母様はどうやら父様の事でお悩みらしく、それを聞いて私は変な声を出した。
何故なら…。
「何故、母様というものがありながら、父様は…浮気でございますか!!」
『しーっ!聞こえちゃう!』
「あ、す、すみませぬ…」
そう、単純な私の脳味噌は、浮気だと思った。
それを思わず怒鳴ってしまえば、母様は人差し指を立ててそう言い、ハッと我に返った私は謝った。
『まあ、私も五郎八と同じような事を考えててね。
…昔、私がまだ政宗さんに片想いしてた時、あの人はあの子が好きなんじゃないかって思うほど、二人は仲が良かったの。今もだけど』
「ふむ…」
『それで、今もよく逢いに行くから…浮気かなって心配って言うか、その…。
―ちょっと、妬いちゃってたりしてて…』
「母様…」
母様のお話を、黙って聞く。
まあ、正直腹の中は父様への黒い感情が渦巻いてたが。
ぎゅっと膝の上で握られた拳が、少し震えた声でそう言う母様が、なんだか切なかった。
『子供みたいだよね…』
「良いんじゃないでしょうか。
私は、それ程、父様への想いが強いとお察しいたしました」
『いろは…ありがとう』
「ですが、僭越ながら私もそれは浮気かと思ってしまいます。
なので、父様を尾けてみましょう―」
『…え?』
なんだか泣きそうな母様に、私はニコリと笑ってそう伝えた。
一応本心だ。父様は憎いがな。
ニヤリと笑ってそう提案すると、母様は間を置いてから首を傾げていた―。
*「此処ですね…」
『うん。なんかドキドキする』
「私もです。
ですが母様。無いとは思いますが、もし父様が本当に浮気していたら…?」
『思いっきりビンタ喰らわせて、奥州を出て甲斐へ行くよ』
満月に乗り、着いたのは普通の村。
私たちは隠れながらゆっくり進んでいて、私の問いに笑顔で答えた母様が少し怖かった。
「あっ、あれは―」
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ウィスキートリオ - 更新してください (2017年4月8日 1時) (レス) id: 28c8159213 (このIDを非表示/違反報告)
五郎八 - こんばんは! 初めまして。奥州に舞い降りたお馬鹿さん、読ませていただきました。とっても素敵な作品だと思います! つづきが楽しみです♪ (2015年11月11日 21時) (レス) id: 9881b80518 (このIDを非表示/違反報告)
coco@(プロフ) - 篝火さん» 初めまして!コメありがとうございます!奥州に舞い降りた((ryから見て下さってありがとうございます!更新は遅いですが のんびり頑張ります(*´。・ω・。`*) (2015年2月12日 7時) (レス) id: 383655f342 (このIDを非表示/違反報告)
coco@(プロフ) - 石田ぎゅ@政就さん» 素晴らしいだなんて…もったいなきお言葉、ありがとうございます!まめまめしてても のんびりお馬鹿に参ります(ノ´∀`*) (2015年2月12日 7時) (レス) id: 383655f342 (このIDを非表示/違反報告)
篝火(プロフ) - こんにちばんわ!BASARAで小説書かせていただいているものです!cocoaさんの奥州に舞い降りたおばかさんから見てます!これからも頑張ってください!! (2015年2月10日 20時) (レス) id: 5819096baf (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:cocoa | 作成日時:2014年11月16日 18時