三十二話 夕餉 ページ33
貴女side
「さあ姫様、どうぞ！」
『…え、っと…』
「馬鹿者！こんなに食べれるわけがなかろうが！」
どどんと“普通サイズ”で盛られた夜ご飯。
さあさあ、と催促されたが、量が多すぎて戸惑った。
そうしてると、五郎八が馬鹿と怒鳴って女中たちは「申し訳ございませぬ」と頭を下げた。
『五郎八、そんなに怒らないで？
ちょっと戸惑っただけだから…ね？』
「は、はい」
「A、どうやって食うんだ」
『行儀悪いけど…手かなぁ』
私の所為で、と少し女中が不憫に思えた。
五郎八の指を両手で握って首を傾げると、娘は首を縦に振ってくれた。
政宗の問いに、苦笑して答えた。
『こじゅさん、このご飯おにぎりみたいに―』
「母様どうぞ！！」
『はやっ！？…ありがとう、五郎八』
茶碗からご飯をとるのは大変だ。
故に、こじゅさんに私の手におさまる大きさに握ってもらおうと思ったのだが。
五郎八が慣れない手つきで既にやってくれていた。
「おいA。俺が食わし」
『No thank youだよ♪』
「Why!!!!!」
なんだかよく解らないが、政宗はムッとしていた。
視線がバチリとあうと、どこか嫌な予感がした。
案の定、食べさせてあげる的なことを言われそうだったため、食い気味で断った。
『なんか…政宗だと、ちょっと…』
「政宗様何か嫌われるようなことをしたのですか」
「父様、ドンマイケル☆」
「………俺ちょっと天国の竜になってくる」
『おい！！！』
嫌いとかではなく、なんとなく変なコトをされそうで嫌だった。
それを伝えようとしたのに、こじゅさんが失笑して、五郎八が舌を出して笑った。
顔を手で覆って何処かへ行こうとする政宗に、私は袴をつかんだ。
『嫌いとかじゃないの！
ただ…あーんとか恥ずかしいなって思って…』
「A……I love yoゴフッ？！」
「政宗様ご自重してください」
「踏んだらどうするんですか馬鹿」
まあ、つまりは恥ずかしかったのだ。
それを伝えてやると、普段の私にする勢いで政宗は抱きついてこようとした。
これ死ぬでしょ。と思ったが、こじゅさんと五郎八が助けてくれた。
「梵、Aちゃんにぞっこんなのは十分わかるから。
さっさと食っちまえよ〜」
「うっせ。わーってる」
なんてやってると、成実さんがやってきた。
溜息交じりに政宗に注意してて、こっちが恥ずかしかった。
本当に、この身体だと色々不便だ。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 58人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「アニメ」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ウィスキートリオ - 更新してください (2017年4月8日 1時) (
レス) id: 28c8159213 (このIDを非表示/違反報告)
五郎八 - こんばんは！ 初めまして。奥州に舞い降りたお馬鹿さん、読ませていただきました。とっても素敵な作品だと思います！ つづきが楽しみです♪ (2015年11月11日 21時) (レス) id: 9881b80518 (このIDを非表示/違反報告)
coco@(プロフ) - 篝火さん» 初めまして！コメありがとうございます！奥州に舞い降りた((ryから見て下さってありがとうございます！更新は遅いですが のんびり頑張ります(*´｡･ω･｡`*) (2015年2月12日 7時) (レス) id: 383655f342 (このIDを非表示/違反報告)
coco@(プロフ) - 石田ぎゅ@政就さん» 素晴らしいだなんて…もったいなきお言葉、ありがとうございます！まめまめしてても のんびりお馬鹿に参ります(ﾉ´∀｀*) (2015年2月12日 7時) (レス) id: 383655f342 (このIDを非表示/違反報告)
篝火(プロフ) - こんにちばんわ！BASARAで小説書かせていただいているものです！cocoaさんの奥州に舞い降りたおばかさんから見てます！これからも頑張ってください！！ (2015年2月10日 20時) (レス) id: 5819096baf (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：cocoa | 作成日時：2014年11月16日 18時
