【戦国BASARA】竜と馬鹿姫と、その娘。

三話　愛と共に ページ4

貴女side


「A、最近どうしたんだ」

『べ…べつに、何もないですよ？』

「―俺が、嘘が嫌いだって事は知ってるよな？」


政宗さんは、私に近づいてそう問うてきた。
その気遣いが嬉しいのに、私は無理に笑顔を作ってウソを言うんだ。
すると、彼は真剣な瞳をして、私の頬に触れてきた。
バレてる。そう思って俯いた。


「―さっき何処に居たんだ？
いや、何処に行っていた？」

『何処も何も…お城に』

「嘘つくな。これは何だ」

『いぁっ…！』


政宗さんの問いは、鋭かった。
実は、さっきの散歩は彼に無断のものであり、散歩に行ってたなんて言えるはずもない。
それで嘘をつくと、彼は眉を寄せて、私がさっき怪我をした二の腕を掴んだ。


『いたいっ…！はなして…』

「なら、正直に言え。嘘は要らない」

『―…どうして、最近五郎八ばかりなんですか』

「は？」


痛くて怖くて、申し訳なくて、涙が零れた。
私を見た政宗さんは、腕を離してくれた。
逃れることはできないと思い、私は後ろに寝転がると、手で目を隠しながら喋り出す。


『わかってますよ、ワガママだって、子供っぽいって。
でも、私は…政宗さんが五郎八ばかり構って、さみしんです…』

「A」

『この傷だって、さっき散歩に行った時、どっかの忍にやられたんです。
でも、五郎八が怪我したら、貴方が怒るって悲しむと思って。
―そんなの建前で、本音は…貴方に、嫌われたく、なくて…』


ぼろぼろ涙が止まらなかった。
ああもうホント私嫌な女。カッコ悪い。
今まで思ってた事を、全部伝えた。
これで嫌われたって、もう仕方ないだろう。


「A…悪かった、近くに居るのに寂しい思いさせて」

『政宗さんは悪くない…私が子供だから』


嫌われたくない。怖い。
不安ばかりで涙が止まらないでいると、政宗さんは私の目を覆う手を払い、キスをして謝った。
それに対し、私は首を横に振る。


「―好きな女だったら、どんな嫉妬でも愛しいぜ？
…悪ィな、お前の気持ちに気付かなくて、護ってやれなくて」

『あっ…佐助が来てくれたので大丈夫です』

「―好きだぜ、お前も五郎八も。
何よりも大事だし、誰よりも愛してる」

『んっ…私も、です』


政宗さんは、傍から見れば私が押し倒されている様な体勢になって、私のオデコにキスを落とし、腕の包帯を解きながらそう言った。
怪我した其処に舌が這い、私は身をよじった。
彼が愛の言葉とキスをくれたから、私もお返しをしたのだった―。

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