【戦国BASARA】竜と馬鹿姫と、その娘。

二十話　似た者同士 ページ21

貴女side


「して、皆々様方、一体何の用でござる」

『実はね、直虎さんが』

「憎き武田信玄…信玄は何処だ！今すぐ出せ真田ァ！」

「お、お館様はご不在であって…」


なんだかよく解らないがブチギレした政宗さんと五郎八を止めると、幸村が中へといれてくれた。
私とこじゅさん以外全員不機嫌で、ギスギスした空気だ。
幸村の問いに答えようとすれば、直虎さんが声を荒げた。


「大の男が逃げるだなんて…滑稽だな」

「なっ…！お館様は逃げも隠れもせぬ！ただご不在であるだけだ！」

「OK,OK.そんな話、俺らが付き合うまでもねぇ。
似た者同士、好きにやり合ってくれ」

「貴様ァ…誰が似た者同士だ！」

「聞き捨てなりませぬぞ政宗殿！」

「What?!」


直虎さんが鼻で笑えば、幸村がカッとなって吼えた。
それを見ていた政宗がそう言えば、二人がふざけるなと言いたげに怒鳴ってきた。
もうこの感じが似た者同士である。


『確かに似た者同士…』

「A殿まで何を申されるのだ！」

『な、直虎さん…！ ごめんなさい、おかしくって…』


確かに、直虎さんは幸村をそのまんま女にしたような感じだ。
思わずフッと笑ってしまうと、直虎さんに怒られてしまい、私はクスクスと笑いながら謝った。


「母様…先程から私たちを覗く者が居りますれば」

『だ、だれ？』

「それは解せませぬ」

「…Hey,隠れてるつもりなのか？アンタ」


五郎八が私に近づき、小声で人が居ると言った。
少し怖くなって問えば、娘は首を横に振り、次にニタリと笑った政宗さんがその隠れている人物に問うた。


「お、おやっさん、どうしましょう？！」

『おやさっん？…まだ子供の声』

「さっさと出て来い」

「は、ハハ…すみません、晴様みませんでしたか？！」

『はる、さま？』


焦る子供の声がした。
それなら安心だと溜息をつけば、こじゅさんが私たちの前に出てそう言った。
チラリと出された顔は幼く愛らしい。
髪はクルンと跳ねていて、瞳は大きくキラキラとしていた。
少年の問いに、私は首を傾げた。


『政宗さん…迷子でしょうか』

「迷子が人捜す訳ねぇだろ」

「貴様、何者だ」

「え、あっ、僕は見習い武将の山中鹿之助ですっ」


現れた少年を見て、私は政宗さんにコソっと問うた。
すると、彼は馬鹿とでも言いたげに苦笑いした。
五郎八が鋭い眼光で睨んで問えば、少年は少し怯えた後、見習い武将の山中鹿之助だと自己紹介した。
…鹿之助だから鹿つれてるのかな？

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