【戦国BASARA】竜と馬鹿姫と、その娘。

十六話　昔の写真 ページ17

五郎八side


「母様、居りまするか」

『いっちゃん？入っていいよ』

「失礼致します」


私が原因の夫婦喧嘩から、暫く経った今日。
大好きな母様と何かしようと、私は部屋に来た。
私が声をかけると、母様は嬉しそうな声色で了承してくださり、私は静かに中に入った。


「母様、一体何をされているのですか？」

『未来では、瞬間を収めることが出来る技術があるの。
その為に使う道具がカメラで、それを絵の様にしたものを写真って言うんだ』

「ふむ…。それが、今手元にあるものですか？」

『そうだよ。これ昔の私。懐かしくて、つい』


母様は、手に大きな書物の様な物を持っていた。
見たことが無くて首を傾げると、母様は かめら なる物と、しゃしんなる物を教えてくれた。
ふむと頷いて聞けば、母様は昔の自分だと言ってしゃしんを見せてくれた。


「来たぜ！My honey！」

『ま、まさむね…さん？！』

「と、父様…」

「どうした、五郎八。そんな顔して」


昔の母様を見て固まっていると、荒々しく戸が開かれた。
(父様を呼び捨てしようと頑張る母様可愛い)
声で父様だと察し、私はゆっくりとそちらを見た。
すると、父様は私の近くに腰をおろした。


「こ、これは…」

『昔の私です。あれ、見るの初めてでしたっけ？』

「ああ…っていうより―」

「「(なんてcuteなんだ！！)」」


幼き母様の写真を見た父様は、目を見開いた。
フフと笑う母様の問いに、父様は深く頷く。
そんなことよりも、昔の母様はなんてcuteなんだ(勿論今も可愛い)！


「か、髪、短かったのですね」

『うん。私動くことが多かったから、長いと邪魔で。
でも、大人になって、少しでも女っぽく見える様に伸ばし始めたんだ』

「見たことねぇ着物ばかりだな…」

『ああ、えーと…これが制服、体育着、水泳でのスク水、文化祭でやったメイド服―』


昔の母様は、髪が短かった。
母様は、私と父様の言葉に対して、一つ一つ丁寧に答えてくれたが、正直耳に入って来ない。
目の前の可愛すぎる母様に、心臓が潰れそうだった。


「…お前これから毎日、この中のどれか着て過ごせ！」

『普通に嫌です。何考えてるんですか馬鹿』

「その方が最高に燃える(萌える)だろ？！」

『いや知らないです』


父様はそう言うと同時に、ぶぱっと鼻血を出した。
それに対し、母様は父様の鼻血を拭いながら、笑顔で断っていた。
少し残念だが、naturalな母様が一番かわい―…。


「む…この男は？」

『「え？」』

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