十話 勘違い ページ11
五郎八side
「あっ、あれは―」
『政宗さんと…いつきちゃん、だ…』
母様と二人で草の陰に隠れながら、小声で喋っていた時。
少し目を凝らせば、父様と私より小さい女子が居た。
母様もそれに気づいたのか、見れば何とも言えない顔をしていて。
「む、父様が近づいて―」
『…あんまりよく聞こえないね』
「…んだか？」
「ああ」
父様がその女子に近づいた。
何か話してるのだろうと思い、私たちも少し近くの場所に移動した。
よく耳を澄ませば、女子が問い、父様が頷いてた。
「―…愛しい……愛してる」
「『え…？』」
見上げる女子に、父様は微笑して確かにそう言っていた。
愛しい、愛してる、と。誰を、なんて聞く必要もないだろう。
心臓はドクンと跳ね、自然と瞳孔が開くのが解り、何より情けない声が母様とはもった。
「あ、あの、母様…今のはきっと、聞き間違えですよ」
『―……』
「母様？！」
私がこんなんでどうする、とハッと我に返った。
眉を下げて母様にそう言えば、母様はバッと立ちあがって父様の方へと駆けてってしまった。
満月と共に、追いかける。
「か、かあさま―」
バチンッ
『―…馬鹿！！』
「あ、ちょ、かあさまーっ！！？」
声をかけた時には、もう遅い。
母様は怒りと悲しみに満ちた顔に涙を流しながら、父様の頬に思いっきり平手打ちをした。
泣きながら走って行ってしまったが、なんて声をかけていいか解らず、追いかけられなかった。
「……いろは、これはなんだ？」
「夢、ではないでしょうか」
「どんな悪夢だ馬鹿野郎！！てか、何でお前ら此処に―」
「なに浮気してんだよ！母様を悲しませるな！！」
「っいろは…なに勘違いしてんだ？」
今にも気を失いそうな父様に問われ、私は視線を合わせずに問うた。
怒鳴った父様にカチンときて、私は親に向かって有るまじき事を言ってしまった。
すると、父様は首を傾げていて。
「ばっくれたって意味ない！
私たちはさっき聞いたぞ！愛しいって、愛してるって言ってたの！」
「それは…コイツに言ったんじゃなくて、お前らの事を言ったんだよ」
「へ…？」
「コイツに嬉しそうな顔してるなって言われたから、愛しい妻と娘が待ってるからって、俺は言葉に出来ねえくらいお前らを愛してるって答えたんだよ」
「そん、な…私…」
胸倉をつかむ勢いで言えば、父様から意外な言葉。
少し照れながら言う父様に、我に返った私はその場に座り込んだ。
…ただの勘違いだ―。
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ウィスキートリオ - 更新してください (2017年4月8日 1時) (
レス) id: 28c8159213 (このIDを非表示/違反報告)
五郎八 - こんばんは！ 初めまして。奥州に舞い降りたお馬鹿さん、読ませていただきました。とっても素敵な作品だと思います！ つづきが楽しみです♪ (2015年11月11日 21時) (レス) id: 9881b80518 (このIDを非表示/違反報告)
coco@(プロフ) - 篝火さん» 初めまして！コメありがとうございます！奥州に舞い降りた((ryから見て下さってありがとうございます！更新は遅いですが のんびり頑張ります(*´｡･ω･｡`*) (2015年2月12日 7時) (レス) id: 383655f342 (このIDを非表示/違反報告)
coco@(プロフ) - 石田ぎゅ@政就さん» 素晴らしいだなんて…もったいなきお言葉、ありがとうございます！まめまめしてても のんびりお馬鹿に参ります(ﾉ´∀｀*) (2015年2月12日 7時) (レス) id: 383655f342 (このIDを非表示/違反報告)
篝火(プロフ) - こんにちばんわ！BASARAで小説書かせていただいているものです！cocoaさんの奥州に舞い降りたおばかさんから見てます！これからも頑張ってください！！ (2015年2月10日 20時) (レス) id: 5819096baf (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：cocoa | 作成日時：2014年11月16日 18時
