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「だいぶ集まってきてるね」

 灰島潤が入ってくるのを見た東雲颯斗がつぶやく。そう、食堂には既に15人も集まっているのである。皆、なんとなく宿の部屋の数を覚えているのか、もうすぐ全員集まると予想したのだ。
 数十分後、食堂にやってきたのは水無月桃弥(みなつきとうや)という男だった。第一印象としては"怖い"という雰囲気こそあったが、話してみるとそういうわけでもなく、会話にぎこちなさはあったものの意外と話しやすく、すぐに輪の中で話してくれるような人間だった。しかし、こんな状況にも関わらず"お気楽な奴ら"と思う人も少なくなく、輪になって話していない一部のメンバーからは反感を買っていた。

「――そういえば、ここって食事はできるの?」

 皐月美乃のふとした発言により、どうなのかという話題になった。食堂の奥にある部屋は『厨房なのでは』と考え、京雪が見に行った。戻ってきた彼の情報からは、食堂の奥にある部屋は厨房だったらしい。その厨房には、食材が揃っており、食糧に困ることはないと思うとのこと。

「食堂がある時点で厨房もあると思いますけど」
「わからないよ? 食堂の奥にお風呂場があるかも」
「それは絶対にないだろ」

 花残響のボケに、即ツッコミを入れる生崎琉。そのやりとりを見ていた周りの人は笑ったが白鳥拓磨は溜息をついた。まるで自分も輪に入ってしまった、そんなような気がしたからだ。

「なになに? 楽しそうな声が聞こえる!」

 陽気な笑い声が外にまで聞こえていたのか、その声を聞きつけた少女が食堂に駆けつけてきた。

「食パンの耳は誰の耳かって話!」
「え?」

 櫛田まなかの言葉に、やってきた少女どころか、食堂にいた他の人も戸惑う。もちろん、食パンの耳どころか、食パンの話にすらなっていないからだ。やってきた少女、もとい夜月明莉(よさづきあかり)に先程の話を伝えると、彼女もまた大笑いをした。そんな和やかな空気の中、食堂に入ってきたのは若鷺廻(わかさぎかい)という男だった。彼はこんな状況の中でもへらっとしており、胡散臭ささえ感じられるが、悪い人のようにも見えない不思議な少年だった。だが、警戒心の強い人物たちは要注意人物として彼を見ただろう。

 そして、ちょうどよく、と言うべきか。食堂に備え付けられているスピーカーから、がちゃっという音がした。そして、再びあの声が聞こえてきたのだ。

「皆サマ、おつかれさまでした。施設の説明をさせていただきます」

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作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/novel/utahakiku08/  作成日時:2019年7月7日 14時

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