スネイル ページ6
「お前さ、傘は差そうぜ？」
彼は困ったように笑った。易しい問題を解くようにするすると光が差している気がした。
なんだろ、なんでも、よくなってしまったみたい。
「うん、傘、忘れた」
だと思った。
ビニール傘を差した彼はわたしの手をとった。
「びちゃびちゃだからもう傘差しても意味がないんじゃねーの。……お前はほんと馬鹿だな」
この人は何故かこんなにも美しい。
心臓から湧き出す声が蝸牛のように留まることを知らない。
ゆったり、ゆったり、ゆったり、ゆったり。
歩き続ければ、きっと雨は、死なない。
好き、好き好き、好き、
好き好き好き好き好き、好き、好き。
これは愛なんて卑屈なものじゃない！
言い聞かせて殻に籠るのだ。
例えわたしが彼に愛されていなくともこの雨が止まない限りは彼はわたしに手をさしのべてくれる。
「じゃあ、衣更さんも一緒に濡れませんか」
「なんでだよ」
「……楽しいから」
ケラケラ笑って彼は傘をとじたんだ。
つないだ手の体温で雨が溶けてしまいそう。
やさぐれ気味の蛙が酷く求愛している。
「ばかですね、衣更さんは」
「そうかもな」
I'm wishing doesn't stop raining.→←無色
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 2人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「あんスタ」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
郁(プロフ) - なかなか考えさせられるお話でとても好きです……翼理さんの小説、これからも楽しみにしています……！！ (2017年5月21日 13時) (
レス) id: 90121d8cec (このIDを非表示/違反報告)
マリイ - 花粉症の人が辛いのは見てて分かるミリイも彼氏の事心配してるし 差別とか非難をしてる訳じゃないけど (2017年5月21日 12時) (携帯から) (レス) id: 82a6cba0ff (このIDを非表示/違反報告)
マリイ - 友達が植物達しかいない恩人でもあるから植物達の事嫌いって言われたら私の事嫌いって言ってるのと同じ植物が嫌いだったら私の事も嫌いって言ってって思う 花粉も 私が出してるのも同じミリイもそう言ってる (2017年5月21日 10時) (携帯から) (レス) id: 82a6cba0ff (このIDを非表示/違反報告)
翼理(プロフ) - ミリイ(灰崎信者)さん» あなたがこれから真人間になることを祈っています。以上です。 (2017年5月21日 1時) (レス) id: 71b659db8b (このIDを非表示/違反報告)
翼理(プロフ) - ミリイ(灰崎信者)さん» そういったコメントを悪いとは言いません。ですが、作者様に何を言ってもいいというわけではありません。あなたがそうやって人に迷惑をかけていることにご自分で気がついておられないようでしたので長文を送らせていただきました。 (2017年5月21日 1時) (レス) id: 71b659db8b (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
