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今日もまた君と帰る。期末テスト前になったから部活はなく、いつもより明るい道。勉強がどうとか、そんなことは話さない。だって君は余裕でいい点とるんだからさ。
それより君は部活に行きたくて仕方ないんだろう。うずうずしているのが見なくてもわかる。でもテストが終わるまで部活は全面禁止。そんなにうずうずしようが、出来ないんだよ。
｢はぁ〜、部活行きたい｣
｢あんたはいいよね…勉強できて｣
｢あ、そっか、勉強できないもんね｣
｢ちょ、笑うな！ 勉強できないのも仕方ないじゃんか〜！｣
はははって楽しそうに笑う君。ただ前よりも元気のある笑い声じゃないし、少しヒューヒュー音がするような気がする。もうあと3週間、君が旅立つまであと3週間。もうそんなに時間は経っていて、君と過ごす時間の短さを痛感する。
楽しいんだ。だから早く時間は過ぎる。君が生きている、その時間を少しでも少しでも長く感じていたい。
｢──明日からさ、友達と帰りなよ｣
｢え、なんで？｣
｢ほら、仲いい子とも思い出作りたいでしょ？｣
その代わり夜に電話するからと私が言えば、分かった、って君が言う。君の目は疑いしかなかった。今までずっと一緒に帰っていたのになんでって、思ってるよね。自己満足に付き合わせてごめん。私なんかに付き合わせてごめん。
辛いんだよ、そんなに早く別れたくないんだよ。そう言えばいいのに、言えないまま時間は過ぎていく。君は別に勘が鋭いわけじゃない。私の気持ちなんか気付いてくれっこないよ。
じゃあねって私の家の前で別れる。手を振る君に手を振り返して、家に入る。入る前にちらりと見た君の後ろ姿はひょろってしていて、風に吹かれたら飛ばされそうだ。
お母さんが作る夕飯の匂いが、鼻をくすぐる。今日はカレー、カレーが出る日はお父さんが早く帰る日の合図。今日の食卓は久々に3人だ。お母さんにただいまって言ってから部屋に行く。
部屋着のジャージに着替えて、制服を吊ってから携帯を持ってリビングへ向かう。お母さんに言われて、深めのお皿に白いご飯をよそう。冷蔵庫からサラダとドレッシングを取り出した時に、お父さんが帰ってきた。
｢お父さん、ご飯だから早く着替えてきて｣
｢はいはい｣
カレーの匂いに反応してお腹がなる。早く食べたい一心で手伝いに身を入れた。
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