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美味しいカレーを3人で食べる。最近残業が増えたお父さんも一緒なのは本当に久々なことで、いつもより会話が弾む。笑い声が聞こえるバラエティ番組を横目で見ていた時、突然電話が鳴った。


「はい、はい……え、」


電話に出たお父さんの口から漏れる驚きの声。表情が固まっている。何かあったのかな、そんなことを呑気に考えていた時お父さんは言った。


「倒れたって、」


倒れた。その言葉でもう分かった。あいつが倒れた、なんで? まだ先じゃないか、君がいなくなるにはまだ早すぎる。友達と帰るって約束したじゃん。今日の夜電話しようって約束したじゃん。
いてもたってもいられずに立ち上がって、あいつが通院している病院に向かう。お父さんが車を出してくれると言ってくれた。車に乗り込んで祈る気持ちで目を瞑る。まだ、せめて私と話すまでは、生きていて。





病院に着いて入口にいた君のお父さんに、君が治療を受ける集中治療室の前まで移動する。走りたい衝動を押さえつけて、泣きそうな私を叱咤する。泣くのは君がいなくなってから、そう決めたじゃん。駄目だよ、泣いたら駄目だ。
赤く光る治療中の文字が、私に嫌という程現実を見せてくる。君のお母さんは手を組んで、泣きながら君の名前を叫ぶ。お願い、神様って。私も祈る、君とまた話したい。お願い、神様がいるなら私の願いを聞いてよ。

光っていた治療中の文字が消える。君の顔には白い布がかけられていて、最後に話すことも君の顔を見ることも出来なかった。心臓発作、それが君のその人生を止めていった原因。君のお母さんもお父さんも、私も泣き叫ぶ。私のお父さんとお母さんは、席を外していた。
君が地下に運ばれる光景に、どうせなら君について行きたいとか考えてしまう。君はきっとそんなこと望んでいないでしょ?

生きてって思った祈りも、話したかったことも、みんなみんな死んでいく。人が死んだとかニュースで見ても何も思わなかったのに。昔から仲良くて、ずっとずっと私の隣にいた人が死ぬと、こんなにも悲しいんだ。こんなにも心臓がはち切れそうなくらいに痛いなんて思ってもいなかった。

君が楽しみにしていた試合、出れなかったじゃん。あんなにフラフラしながら、笑いながら楽しそうにやってたサッカーともお別れできなかったじゃん。
分からない範囲とか教えて欲しかったよ。こんなんテスト受けれるはずがないよ。どうすればいいの?
そんな思いは虚しく涙と共に消えていった。

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作者名:8人の小説家 x他6人 | 作者ホームページ:なし  
作成日時:2018年6月3日 18時

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