伍 ページ37
＿敦は思い出していた。昔、孤児院にいた頃の事。
敦は泣いていた。職員に暴力を振るわれたからか、年上の子どもに虐められたからか。今はもう憶えていない。けれど、泣いていた自分を職員は慰めるどころか、引っ叩いた事だけは覚えている。
詮無く泣いて許されるのは親を持つ子どもだけだ、と。
親にも捨てられた子どもには泣く資格さえ無い、と＿。
敦は思い出した。
そうだ、自分はこうして捨てられ乍ら生きてきた。でも、�猗狃��瓩蓮�探偵社は自分を＿。
任務を終えたと思った芥川が、獲物に背を向けた。しかし物音がしたため、背後を振り返る。…思わず、目を剝いた。
其処には、壁にしがみつき、芥川を睨む敦がいたからだ。敦の肌は縞のある体毛に覆われ、その姿形は見る見るうちに変わっていく。
「そうこなくては」
完全に虎と化した敦が芥川を襲った。芥川も自分の異能で反撃する。しかし虎の負った腹の傷は息を吐く暇も無く消えてしまった。高速の再生能力だ。
「芥川先輩！」
「退がっていろ樋口。お前では手に負えぬ」
部下を退がらせると芥川は再び虎と相まみえた。一瞬で芥川の目と鼻の先に来たその疾さには芥川でさえ舌を巻いた。彼は獣を蜘蛛の巣のように変じて応戦する。それに弾かれ、虎は壁に激突した。しかし再び立ち上がって来る。
「おのれ！」
上司の身の危険を感じた樋口が、虎に向かって銃を放った。しかし。
ビスッ、ビスッ！
まるで金属のように、虎の身体は弾を弾いた。攻撃された事により、虎が樋口に視点を当たる。自分の身の危険を感じ取るも遅い。
「何をしている、樋口！『羅生門・顎』」
樋口に襲い掛かる白虎の後を、大きく口を開けた黒獣が襲った。獣の顎が虎の腹を喰いちぎる。夥しい量の血が、樋口の顔に、スーツに飛び散った。
「ち…生け捕りの筈が」
ドサリと虎の重い身体が地面に落ちた。口から赤い血が零れ落ちて、地面に赤い染みを作っていく。しかし、それが霧散した。
芥川は其処でやっと気が付いた。辺りには、白い雪が舞い落ちている。
「『細雪』…！」
芥川は地面に這いつくばり乍らもほくそ笑んでいる谷崎に気付いた。
「今裂いた虎は虚像か！では＿」
振り向いた先にいる存在を見て、芥川は笑みをこぼした。凶悪な顔付きでもあるし、玩具を与えられた子どものようにも見えた。
「『羅生門』、『叢』＿！」
巨大な黒腕が、白い虎が、相まみえた。
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サラ(プロフ) - あいさん» ありがとうございます、張り切ります! (2018年11月12日 1時) (
レス) id: cb57f05521 (このIDを非表示/違反報告)
あい(プロフ) - おお！更新ありがとうございます！これからもファイトです！ (2018年11月6日 8時) (レス) id: a2c75168cb (このIDを非表示/違反報告)
サラ(プロフ) - あいさん» いえいえ、待っていてくださってありがとうございます!何とか書き上げられるように頑張ります! (2018年10月22日 23時) (レス) id: cb57f05521 (このIDを非表示/違反報告)
あい(プロフ) - ストーリーが思いつかない感じなんでしょうか？全然待つので、最後までお話が読みたいです！よろしくです！！もし、しつこかったらすみません･･････更新頑張ってください！ファイトです！ (2018年10月22日 21時) (レス) id: a2c75168cb (このIDを非表示/違反報告)
サラ(プロフ) - あいさん» いえいえ、ご期待に添えるか判りませんが、頑張らせていただきます!これからもよろしくお願いします! (2018年8月21日 22時) (レス) id: cb57f05521 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：サラ | 作成日時：2018年8月21日 22時
