間に合わなかった、なんて。 ※番外編 ページ11
注意:現パロ、ちょっと表現に注意
何かの間違いなんじゃないかって、思っちゃうんだ。
凛「______交通、事故」
A母『あの子、凛月くんの家に行く途中で車に轢かれたみたいで…!今病院にいるから、せめて顔を見てあげて……。』
大事な一人娘が瀕死の状態で、酷く焦っているおばさんの声。
対して俺は、(あぁ、今日なのか、)なんてやけに頭だけ冷静になっている。
もう何度も見た、大好きで大切な人の綺麗な目が開かなくなる瞬間。あの心臓が抉られるような、自分の中のピースが欠けたような感覚。
愛しい人の名前を呼んでも“なぁに”と返ってこない、喪失感。
(………A、A、A、A。)
大丈夫、大丈夫と頭の中で何度も繰り返す。
人気のない脇道に逸れて、病院の近くまで魔法を使って移動する。大きな駐車場のある病院だから、人の目につかない場所からは少し距離がある。
自然に足がどんどん速く動いていって、気がつけば何度も経験した彼女の最期に必死になって走っていた。
(大丈夫、今までだって、なんだかんだAの最期には立ち会えていたんだから。)
その甘えが、よくなかったんだと思う。
.
A母「凛月くん…っ、A、頑張ったの、頑張ったのよ……!」
その言葉で、全てを察してしまった。
でも、それでもせめて、あの子の顔だけでも見たくて。
凛「………おば、さん…………A、Aは……?」
ほとんどなにも考えていない頭で、愛しい人を求めた。
白いカーテンが開いて、たくさんの管に繋がれた彼女の姿が見えた。
頭に血が流れた跡が残っていて、側頭部が少し凹んでいる。なにか、硬いところにでもぶつかってしまったんだろう。
凛「……あ、A……A………。」
あまりにも痛々しくて見ていられないのに、目を離したら自分の中で完全にいなくなってしまう気がして。
目を開いて。
俺の名前を呼んで。
頭を撫でて。
笑って。
もう、呪われた俺なんかを好きにならなくていいから、生きていて。
凛「……………おいて、いかないで………」
こんなに綺麗な人がこの世界からいなくなったのに、何事もなかったかのように時間が進んでいく。
Aがいなくなってこんなに悲しいのに、俺はまた彼女と出会う。
俺の“人生”は、呪いで出来ている。
.
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かお(プロフ) - はじめまして!更新停止は悲しいですが、また更新して下さるのを待っています! (2021年6月26日 11時) (レス) id: 16a5bce890 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:春 | 作成日時:2021年4月1日 0時